弁護人
「万引きをした動機は何ですか?」

母親
「一番は夫のお金を使いたくなかったからです。夫のお金を使うと、後から『してやった、食べさせてやっている』ととられるので、お店から盗った方が気が楽だったので盗りました」

涙ながらに後悔を語った父親とは対照的に、母親は小さな声でポツリポツリと話します。

弁護人
「どうしておけば良かったと思いますか?」

母親
「やめようって言えばよかったです。当時は夫に言っても機嫌が悪くなったり大きな声でしゃベられたりするからできませんでした。今回の事件でされたことはないけど、1か月に1回あるかないか、暴力を振るわれることもありました」

弁護人
「万引きを断って殴られたことがないのなら、注意をしてもよかったのではないですか?」

母親
「怖い思いもあったと思います」
「夫のせいだけじゃなくて、わたしの意志の弱さと流されやすい性格もあります。わたしがしっかりしていれば夫にやめようと伝えられた」

母親の被告人質問の間、父親は両ひざに手を当ててじっと足元を見つめていました。

さらに娘も、「父の存在が絶対的だった」と話します。