弁護人
「家計を楽にしたいと思い、万引きをしたのですか?」

父親
「みじめな思いを妻や子どもにさせたくないと思いました」
「少しでもいいものを食べさせてやりたい、普通のものを着せてやりたいと考え、見栄を気にして過ごすようになりました」

最初は夫婦2人で始めた万引き。次第に娘も巻き込んで、3人で万引きを繰り返しました。

父親
「最初は肉1個が2個になり3個になり…」
「盗むものは店に行ってから決めました。1週間先の食材とすり減る中の衣類、日用雑貨、シャンプーやリンス…。減ってきてなくなったものを、という感じで決めました」

弁護人
「やめようと考えたことはないですか?」

父親
「何度も家族で話をしたことがあります。このまま続けても警察24時のテレビみたいになる、『やめにゃいけん』となる中で、家族分の食材でカートがいっぱいになったときに、盗んだらその分、毎月の生活が助かる…という思いでもう1回、もう1回とズルズル続きました」

父親は「店に迷惑をかけた」と反省の言葉を口にする中で、涙ながらにこう話しました。

「良いものを食べさせてやりたい、周りに釣り合うようにしないと…と見栄を気にしてきましたが、一番大事なものは物とかお金ではなく…ということをすごく感じました。着るものがボロでも、借家でも、子どもと一緒に笑って過ごせることの大事さというか…すごく感じました」

一方、母親や娘が語ったのは全く違う動機でした。