「東京で生まれ育った自分が…」初めて足を踏み入れた広島 93歳の被爆者との出会い
迷いを抱えながら2022年12月、初めて広島を訪れ、原爆資料館を見学しました。
そのとき、出会いもありました。
被爆者 伊達みえ子 さん(93)
「久しぶりです。またお会いできてうれしいです」

広島の俳句団体に所属する、93歳の被爆者・伊達みえ子 さん。初めて広島を訪れた小暮さんに自らの被爆体験を語りました。
被爆当時は16歳。救護所で瀕死の被爆者たちの手当をしました。今も忘れられないというその時の惨状、平和への願いを小暮さんに伝えました。

広島の俳句団体所属 被爆者 伊達みえ子 さん(93)
「全身、まだ生きているのにウジがわいて、口からも耳からも鼻からもウジがわき出してくる。小さなお子さんはね、泣く力もなくなっているんですけど、指でつまんでウジをとってあげた。そういうのを見たときに、戦争はいけないと思いました」

伊達さんが作った俳句も歌にしました。終戦の日に玉音放送を聞きながら見た光景です。
小暮沙優 さん
~ 蝉の穴 のぞけば被爆の 16歳 ~(伊達みえ子さん作)

オペラ歌手の自分にできるのは、歌で伝えること。
軍歌一色だった戦時中、伊達さんが好きだったと教えてくれた、思い出の歌「椰子の実」を贈りました。

「句集 広島」より
生きながら 腐りゆく身を 蛆に任す (千葉・釜我半夜月 作)
小暮さんは、「句集 広島」を歌にする取り組みを続けています。コンサートは8月3日。朗読も交えた一人芝居のような舞台を考えています。

オペラ歌手 小暮沙優さん
「わたしは直接、広島と関わりのない人間ですが、伝え続けていかなければならないということを、自らの使命に思っています」
被爆10年後に生まれた「句集 広島」に、ライフワークとして向き合っていくつもりです。
小暮さんの句集「広島」を歌う「朗読モノオペラ つなぐ」は、8月3日(木)午後6時半からJMSアステールプラザで開かれます。