被爆から10年後の句集 500冊発見 小暮さんの手元へ

被爆から10年後に広島の俳句団体が出版した「句集 広島」。戦後の復興が進む一方で、原爆の記憶がまだ生々しく残る時代。全国から1万を超える俳句が寄せられました。句集には、そのうち1500余りが収められています。

「句集 広島」より
流燈に 顔重ねあふ 孤児その兄 (広島・大堀千惠 作)
みどり児は 乳房を垂るる 血を吸へり (広島・西本昭人 作)

この句集が、あらためて注目される出来事がありました。当時、編集を担当した広島市の俳句関係者の自宅から500冊もの句集が新品の状態で見つかったのです。再び、多くの人に読んでほしいと考えた広島の俳句協会は、全国の関係者に句集を送りました。

広島俳句協会(夕凪俳句会・代表兼編集長) 水口佳子 さん
「(句集が)あることは知っていたけれども、書店にも売ってないし、古書店にもほとんどなくて。新しく見つかったということで若い人にもぜひ読んでもらいたい」

小暮さんも2022年から俳句を始めていました。所属する俳句団体の代表・島田牙城 さんは、広島から届いた句集を小暮さんにも渡しました。

小暮さんが所属する里俳句会(兵庫) 島田牙城 代表
「本当にぼくたちが被爆当時の現状を歩いているような、そんな錯覚すら起こさせるような句集です。例えばこの句集を読んで、絵を描く人もいるでしょう。彼女のように歌ってくれる人もいるでしょう。何らかの形でこの句集に残っている1句1句を後世に伝えていくのが、ぼくらの仕事なんだろうなと。手に取ってしまった者の―」

本から学んでいたヒロシマ。しかし、小暮さんは当初、「東京で生まれ育った自分には受け止めきれない」と感じたといいます。

小暮沙優 さん
「広島には子どものときから深い思いを抱いていたので、本当に自分が受け取っていいのだろうかとか、自分に受け取る資格があるのだろうかと本当に悩んで、(句集の)包みが届いてからもずっと開けられずにいました」