高校野球 広島大会が、7月8日に開幕します。甲子園を目指す球児たちの姿を「つなぐ夏」をテーマに追います。今回は、全国にその名を轟かせている県内屈指の強豪校・広陵高校(広島市)。その強さの原動力は去年、流したくやし涙でした。

広陵高校 中井哲之 監督
「何があるかわからないのがこの夏なので、去年も3回戦で痛い目を見たので、『あれから1年経つね』とみなさんに言われます」

2022年夏、優勝候補筆頭と言われた広陵は、3回戦で姿を消しました。

広陵高校 真鍋慧 選手(当時2年)
「自分たちの学年ではくやしい思いをせずに絶対、甲子園に行ってやろうと思っている」

その夏の敗戦から1年。5年ぶりの夏の甲子園出場、そして全国制覇を胸に快進撃を続ける広陵の姿がありました。

神宮大会準優勝、そして春のセンバツでもベスト4へ勝ち上がるなど、全国でも通用する確かな実力を証明してきました。

その広陵打線を引っ張るのは、U-18日本代表合宿にも選出された3人。まずはホームランも打てるリーディングヒッター・俊足好打の 田上夏衣 。

広陵高校 田上夏衣 選手(3年)
「トップバッターとしてのチャンスメイクだったり、チームに勢いをつけるだったり、そういうところは中心としてやっていきたい」

さらに広陵の主将であり、クリーンナップも担う 小林隼翔 。

広陵高校 小林隼翔 主将(3年)
「4番や5番を打っているが、自分は長打よりも安打、打率を残すことが優先」

そして、高校通算61ホーマー、高校卒業後のプロ挑戦を表明した広陵のボンズこと 真鍋慧 。

広陵高校 真鍋慧 選手(3年)
「1番の田上が絶対出塁して得点圏までいくと思うので、その田上をホームにかえすだけ」

広陵の強力打線の中心を担うこの3人は、1年前の敗戦でもスタメンで出場していました。あのとき、流したくやし涙は、わずかに心に潜んでいた慢心が原因だったと振り返ります。

小林隼翔 主将
「広陵は勝って当たり前という世間からの見られ方をして、自分たちも勝って当たり前、負けてしまってはおかしいという考え方が頭にあって、去年の夏はその気持ちのすきが見えて負けてしまった」

上ばかりを見ず、一戦必勝。その先に見える「全国制覇」は、先輩の思いものせた最大の目標です。

そして、先輩から託された思いに加えて、伝えていきたい後輩への思いもありました。