本川をつたえて

平和記念公園の西側を流れる川、本川をのぞむように建つ小学校。

爆心地からほど近い、この学校で起こった出来事が一冊の絵本になりました。

タイトルは『本川をつたえて 爆心地350mで被爆した小学6年生の女の子』。

当時、およそ400名の児童が通っていた中で、ただ一人、戦禍を生きぬいた清子さんの物語です。

文章と絵を手がけた奥原球喜さんは、本川小学校の校長だったときに、清子さんと出会いました。

奥原球喜さん(左)に話を聞く山野秀子さん

あの日のこと、そして戦後も、放射線障害や被爆者への差別に苦しめられた経験を語り伝えてきた方です。

病気治療の合間をぬって、夫の公照さんに助けられながら、100か所もの学校を訪れた清子さん。

子どもたちと向き合い、核兵器の恐ろしさを訴えていくうちに、戦争を憎む気持ちだけでなく、どうすれば平和な世界をつくれるのか、一緒に考えるようになったそうです。

その遺志を受け継いだ奥原さんは、清子さんが82歳で旅立ったのちに絵本を完成させました。

学校の授業などで子どもたちに読み聞かせ、感じたことを語り合う時間を大切にしています。

「人の心も体も傷つける、戦争といじめはつながっていると思った」

「清子さんのように、どんなことがあっても生きぬいて、人の役に立ちたい」

「ぼくたちにできることは、この話を次の世代に伝えていくことだと思う」

子どもたちの言葉からは、それぞれの胸に宿った平和を求める気持ちがあふれています。

奥原さんは『本川をつたえて』という絵本のタイトルに2つの意味を込めました。

清子さんの想いを伝えつづけること。もう一つは、未来を担う子どもたち自身が、平和の大切さを伝えていってほしいという願いです。

そして、幸せに生きるためにはどうすればいいのか、自分ができることを考え、行動してほしいと思っています。

『本川をつたえて 爆心地350mで被爆した小学6年生の女の子』。みなさんもぜひ、手に取って読んでみませんか。

(2026年8月1日放送 RCCラジオ「山野秀子のちいさなパティオ」より)

「山野秀子のちいさなパティオ」とは

(RCCラジオ 毎週土曜日12:30~12:55放送)
1994年10月15日にスタートした長寿番組。
パーソナリティの山野秀子さんが、 四季折々に触れて、自然、人の営み、 歴史等をモチーフとしてラジオを通じてやさしく語りかけ、そのトークとマッチした洋楽のナンバーをオンエアしていくトーク&ミュージックプログラム。
パティオ (Patio) とはスペイン語で 「中庭」 の意味。美しい日本語を心がけ、リスナーの心の中にくつろぎの中庭を提供したい」という思いが、 タイトルに込められている。