未完の「一体感」 菊池涼介も口にした後悔の念

コミュニケーション不足を感じたのは、監督だけではありません。やるせない気持ちを抱えたのは選手たちも同じでした。後悔を口にしたのは、10年連続で「三井ゴールデン・グラブ賞」を獲得した、菊池涼介。



「佐々岡監督は本当に優しくて、いい人で。談笑しながら接してくれて。ただ、野球のことで、もうちょっとなにか話ができたかなと、思い残すことはあったなと。意見をするとかじゃないですよ。「僕はこうだと思うんですけどね」とか。普段の会話の中で、もうちょっとできたんじゃないかなと。僕は、退団されるときに、そういう風に思った」(菊池涼介選手)

かつてない厳しい時代を監督として過ごした3年間。後悔もありながら、佐々岡氏が蒔き続けた種は着実に芽吹き始めています。

このつづきは、新時代を担う新井新監督へ託されました。退任を決めた今シーズンのホーム最終戦。佐々岡氏には込み上げてくるものがあったと振り返ります。

――自分が選手を引退した時は、涙というのは出なかったんです。選手をやめた後は、(指導者として)このユニフォームをまた着るんだろうなと。でも、監督を辞めるときは、もうこのユニホームは着ないのだろうなと感じた。そのさみしさが、涙になったんだろうなと思います。



セレモニーの最後には監督との別れを惜しむ選手の姿がありました。

――ちょっとウルっと来るものがあったので、早く下(ベンチ横の監督室)に降りて、ひとりになろうかなと思っていたら、選手たちが「来てください」と。監督室へ呼びに来てくれて。まさか、写真をみんなで撮るというのは思ってもいなかったので・・・

こうして佐々岡氏は、選手・コーチ・監督という26年間のカープ人生に、ひとつの区切りをつけました。
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