「まさか自分が”重症”だったなんて」一晩の検査で見えた”眠りの真実”

後日、天谷さんは病院の一晩入院して精密検査を受けました。頭や胸、脚に複数のセンサーを装着し、睡眠中の脳波・呼吸・心電図・血中酸素・体位などを詳細に測定します。

元プロ野球選手天谷宗一郎さん
「線をいっぱいつけて、最初は寝れるかなと不安でしたが、意外と眠れました」

しっかり眠れたという天谷さんですが、精密検査の結果は衝撃的でした。

広島ハートセンター循環器内科医 中村真幸医師
「天谷さん、結果なんですが、1時間あたり44.9回、呼吸が止まっていました。これは”重症”です」

重症という言葉が重くのしかかり、天谷さんからなかなか言葉がでませんでした。

天谷さん
「44.9回…、全然そんな感覚はないです。」
中村医師
「寝ているから、自分ではわからないんです。長いときは1分ぐらい呼吸が止まっていました。寝ているのに、体の中では”酸欠との戦い”が続いていたんです」

ぐっすりと眠れていると思っていた裏側で、体は静かに悲鳴を上げ続けていたのです。睡眠時無呼吸症候群は、単なるいびきの病気ではありません。酸素が減るたびに、脳は「息をしろ」と命令を出し、交感神経が活発になります。

その結果、血圧や心拍数が何度も上がる。「まるで全力疾走している状態だ」と中村医師はいいます。この繰り返しが、高血圧、糖尿病、脳卒中、心不全などの合併症リスクを高めるのです。