37年前に現地調査した気象学者が語る「当時の調査の限界」

今月、101歳になった気象学者の 増田善信 さんは、気象庁を定年退職した後、当時の認定基準となっていた雨の範囲に疑問を感じ、手弁当で広島に通い、「黒い雨」の調査にあたりました。

増田さんは湯来町などで集会を開き、10か所で111人以上から直接聞き取りをしたほか、1188枚のアンケートを回収し、分析しました。

しかし旧津田町では、アンケート調査さえ実施されませんでした。

気象学者 増田善信 さん
「調べてないんだから、その辺は。津田なんてところは。(調査は)あくまでも不完全、途中だと。だけど、それはもういくら悔やんだってしょうがない。そういう点で言うと、まあ、わたしはかなりのところまでやったけれど、周辺部分はほとんど手がついていませんというのが、これはもう一番はっきりしているんじゃないですか」

津田地区で「雨に遭った」という人はほかにも見つかりました。

当時5歳の女性
「そこで遊びよった時に、ピカっと光ってドーンっていう音が。すごい音がしたのを覚えとる。はっきり覚えとる」

当時5歳だった女性は、庭に干してあった柴を飛び越えて遊んでいました。すると雨が降り出し、大人たちがやってきたそうです。

当時5歳の女性
「(柴が)濡れるから、雨で。そのまま置いとったらやれんじゃないですか。ほいじゃけ、ここ(軒)に、屋根の下にみんな入れて。お母さんがしよるのをね、それを手伝う。濡れるから一緒に」