当時、病院で看護師として被爆者の治療にあたっていた 古原ユキエさんです。

病院の元看護師 古原ユキエ さん(2018年取材、当時93歳)
「1週間も10日も続けて降ったんです。9月17日の朝からじゃんじゃん降りだった。その4~5日前から地鳴りというんですかね、足の下の方で、なんか変な音がするんですよ」

約1週間前から聞こえた地鳴り…。当時、それが何の音かは分かりませんでした。そして9月17日の夜、病棟から離れた寄宿舎の1階で寝ていたといいます。

病院の元看護師 古原ユキエ さん
「下の方がジャーっと全部、水だらけになってね」

突然、水が襲ってきました。わけも分からず寄宿舎の隣の竹やぶに避難したといいます。

病院の元看護師 古原ユキエ さん
「そこに毛布をかぶって出たんです。そしたら土砂降りだったんですがね、何が何かわからないんですがね、『おーい、助けてくれ』っていいよるんですよね。どうしたのかねっていいよったら、どしゃって足元が抜けてね、竹やぶが土砂で流れた」

土砂に巻き込まれながらも竹につかまり、助かりました。しかし、夜が明けると…

病院の元看護師 古原ユキエ さん
「とにかく病院が全部、前へ流れた。朝、夜が明けてびっくりした。ないんですよ、何も」

豪雨がもたらした土石流が多くの病棟を押し流し、病院は壊滅…。古原さんが看護していた被爆者も含む156人が犠牲となりました。

病院の元看護師 古原ユキエ さん
「命がけで治療してようやく51人残った方、元気に帰してあげようと思ったのに枕崎台風で全部、海へ流れたんですよ。連れて帰って一生懸命していたのに、それがみんな亡くなったというのは、本当にショックでした」