沖縄戦にこだわるのは「神の啓示」だった

新里さんのアトリエでは、新作の執筆作業が大詰めを迎えていました。

漫画家 新里堅進さん
「これが原稿なんですよね。真っ白でしょ、何も描いてない。この中に、キャラクターたちを、写し込んでいかないといけんもんだから、まずデッサン始めて、ペン入れして、1ページ書くのに丸一日かかる。だから1000ページの本だったら、1000日かかったってことなるわけです」

最新作のテーマは、やんばるの沖縄戦です。

(新作『やんばるの戦い』より)
『負傷兵の群れ…ああこれが現実か』
『野戦病院はとっくにパンクしているのだ』
『そ、そこの人お願いだ。水、水、水』

戦後生まれの新里さんが、沖縄戦にこだわるようになったのは、高校3年生のとき。のちに「神の啓示」のようだったとふりかえる出会いが、図書館でありました。

漫画家 新里堅進さん
「本当にあれは何か吸い付けられるようにね、1冊の本を見つけたんです。その一冊の本を、いろんな方が読まれてて、もうほとんどボロボロなってて、まずこれを手に取ってみて、読んでみたら、もうすごい衝撃を受けた」

その本は、学徒兵として動員された沖縄師範学校の生徒たちの体験集です。

漫画家 新里堅進さん
「光景が目に浮かぶわけですよ、彼らの動きがね。泣いたり笑ったりするでしょ。その光景が目に浮かんで、それを漫画風に書きたいなと。そしたら僕は自分の前に本当に僕は何て言うか、スポットライトを浴びたような道がね、スーッと流れていったんです、本当に。あれがきっかけでした、漫画家になる」