首里城の火災から7年。正殿の再建工事はいま佳境を迎えています。2026年秋の完成に向け、首里城公園周辺ではすでにアイデンティティーともいえる”鮮やかな朱”の外壁や、きらびやかな木彫刻、琉球王国の独特の景観を象徴する赤瓦を見ることができます。

これまでの再建工事で、ベースともいえる工程が「木工事」です。木工事がこれまで滞りなく進められた背景には、全国から集結した宮大工たちの絆がありました。今回はそのチームワークがどのようにして醸成されたのか、木工事の舞台裏を振り返ります。

釘を使わず500本の木材が「パズル」のように

2023年9月、正殿再建が行われる「素屋根(すやね)」の現場で、ある重要な工程が始まりました。

「オーライ、オーライ」

掛け声とともに、最初の一本となる柱が建てられます。柱や梁などおよそ500本の木材で構成される骨組み造り、「建方(たてかた)工事」のスタートです。

建方工事の最大の特徴は、釘などを一切使わないこと。建てた柱に横材の梁をはめ、まるで巨大なパズルのように精密に組み上げていきます。これこそが宮大工ならではの技が発揮される重要な工程です。

沖縄出身の宮大工・平良里騎さんは、当時の張り詰めた空気をこう振り返ります。

宮大工・平良里騎さん

「緊張がありましたね。木材もみんなが加工してやったものなので。傷つけちゃいけないという思いがありました」