銀行のロビーに長時間座り、スマホ操作をしてはメモを繰り返していた高齢男性。行員が思い切って声をかけ、SNSを使った詐欺の被害を未然に防ぎました。

沖縄銀行・美里支店の前田盛弥子さんと神村あかねさんの2人は今年9月5日、美里支店を訪れた70代の男性が、約1時間に渡りロビーに座り、落ち着かない様子でスマホを見ながらメモをしていたことから、不審に思って声をかけました。

表彰を受けた神村あかねさん

支店のロビーにいた神村さん:
「他のお客さんより座っている時間が長かったので、ちょっと注意して観察していた」

2人が男性から話を聞くと、インターネットで株式投資について調べていたところ、SNSアプリ「LINE」に誘導された先で、口座に現金を振り込むよう指示を受けたことが分かりました。

表彰を受けた前田盛弥子さん

窓口担当の前田盛さん:
「お客様からも、これって大丈夫なもの?という質問もあった。“警察署に相談に行ってください” というアドバイスに、分かったと言ってくれた」

神村さん:
「お客様の細かい挙動や発言をよく聴き取りして、親身になって確認しながら接客していきたい」

2人は、投資をかたる詐欺などが非常に多いことが以前から気になっていました。そのため、ロビーで不審な様子だった今回の男性に思い切って声をかけ丁寧に聴き取りしたことが、詐欺被害を防ぐことにつながりました。

どんな理由で誰にお金を振り込むのか、他人と話したい銀行の客はあまりいませんが、一人で判断してしまうことが取り返しのつかない詐欺被害につながるため、前田盛さんはこれからも客への声かけを心がけたいと、ほっとした様子で話しました。

前田盛さん:
「今後も、詐欺を防ぐために(事情を)お聞きしていますときちんと伝えて、怪しいものは怪しいとちゃんと言っていきたい」

沖縄警察署が2人を表彰

沖縄警察署は21日、SNS型投資詐欺を未然に防いだ2人に感謝状を贈りました。

善意の他人の「とっさの判断」で被害を間一髪で防ぐことができた今回のケースは、不幸中の幸いでした。警察は、SNSで現金を振り込むような要求があった際は、絶対にすぐに振り込まず、警察や家族など周囲に相談するよう呼び掛けています。