沖縄水泳界が抱える課題
実際、沖縄水泳界には様々な課題がある。全国では主流となっている室内の50m公認プールが、県内にない。大会用のスタート台があるのは那覇市の「奥武山プール」だけだ。そしてこのスタート台も、選手たちは試合の時しか使用することができない。

こうした環境の制約もあり、今年の全国高校総体に出場できた県勢はわずか5人だった。県外でのレース経験やトップ選手と触れ合う機会が少ない子どもたちの刺激になればと、塩浦は大会企画に加えて水泳教室やトークショーも開催した。
70人限定の水泳教室では、子どもたちからトップ選手への質問が飛び交った。
「身長を伸ばす方法と大会前の勝負飯を教えてもらいたいです」
東京五輪2冠・大橋悠依
「寝ることです。学校行って勉強も大変だし、例えば今はスマホがあって、ついつい見ちゃって寝る時間が遅くなっちゃうこともあると思うんだけど、たくさん睡眠時間を取るようにしたら、身長伸びましたね」

トップ選手たちの話を必死でメモする子どもたちの姿があった。ノートには赤いペンで線が引かれ、「自分が気をつけていなかったことや気をつけたらいいこと」が記されていた。将来の夢を尋ねられた子どもは、迷わずこう答えた。
「オリンピックに出ることです」