沖縄が誇る海の幸「ソデイカ」。ウチナーグチ(方言)では「セーイカ」といいます。

刺身や寿司に用いられる高級食材ですが、実はあまり使われない「未利用部分」があるんです。

そんな「セーイカ」の未利用部分をおいしく頂ける調理法を見つけ、”イカした”弁当にする取り組みをご紹介します。

タコライスならぬ「イカライス」に、「イカキムチソーメン」や「イカパスタ」。

琉球大学病院内の「がじゅまるラウンジ」では地産地消プロジェクトとして「イカフェア」を開催しています。

▼出店する「なごみキッチン」オーナー・呉屋ゆかりさん
「宜野湾市社交飲食組合という組合があって、その4つの事業者が琉大のカフェに入ってそこでお弁当を販売したり、ドーナツ販売とかをしているんですよ。4つのチームになっているんですよ。私がイカライスを作って」

▼喜久本レポーター
「タコライスならぬセーイカの未利用部分を使った”イカライス”をいただきます。スパイシーですね。イカが弾力があってコリコリしていてとてもいい味出しています。絶品です」

使われているのはイカの硬い部分、「未利用部分」といわれる部位です。

ユニークなメニューを提供するなごみキッチンを切り盛りするのは、呉屋ゆかりさん。セーイカの未利用部分10キロを購入しました。

▼なごみキッチンオーナー・呉屋ゆかりさん
「どうせ捨てる、使わないものだったらもったいない。こんなにおいしくて栄養価があるもの」

セーイカの未利用部分を使う「イカライス」。牛と豚の合いびき肉とセーイカを混ぜて作っています。

イカライスに用いるのはセーイカの中でもイカの耳と胴体の部分。少し硬さがあるためミンチにして料理に混ぜ込みます。

最初は試行錯誤の日々でしたが、セーイカをお酒で洗い圧力鍋に15分かける調理法にたどり着き、ほどよい歯ごたえでセーイカを楽しむことができるようになりました。

次にミンチにする作業。茹でで細かく切ったセーイカをさらにひき肉機にかけ食べやすいサイズに。

▼呉屋ゆかりさん
「重労働なんですよ。これ硬い、硬い。前は手で細かく包丁でやっていた。半日くらいかかる、終わるまでに」

あいびき肉とセーイカのミンチを入れて秘伝のスパイスを混ぜます。

「下処理が大変だった、最初のころ。塩でもんで料理酒に付けて作業した。手間暇かかっていて」

そしてライスにもこんな工夫が。

「栄養面でいうと、イカも色々調べてイカとウコンが合うということが分かった。ご飯もウコンもターメリックライスにしてイカライスにした。この組み合わせで肝機能とかもよくなるらしくて、それも調べて」

呉屋さんは十数年前までは病院に勤務していましたが退職。母が切り盛りしていたお店を手伝うようになり現在は引き継いでいます

お店を引き継いでからは、売れ残った弁当などを生活困窮世帯に届ける取り組みをしていて、沖縄県福祉のまちづくり賞を受賞しています。

▼呉屋ゆかりさん
「弁当を廃棄しないで、一人暮らしの方、お年寄り、母子家庭の方たちに、公民館にあげることで公民館がその家庭に持っていくみたいなシステムを作った」

未利用部分を使ったイカの商品を食べた医学部生たちは…

▼医学部生
「味はタコライスと変わらないが食感がほんのりイカの味がしておいしいです」

▼医学部生
「うまっ!」(本当は捨てられるところを柔らかくして食べられるようにしているらしい)「ふーん。おいしいよな。普通になんで捨てるの?これ」

▼医学部生
「イカの臭みはそんなになくて、タコミートと合う感じでむしろ食感がタコミートに比べてあっておいしいかもしれないです」

未利用部分を使い食材や生物資源を無駄にしないこの取り組みは、SDGsの目標に繋がっています。

▼なごみキッチンオーナー・呉屋ゆかりさん
「とってもいいと思う、この取り組み。今何でもかんでも捨てるからね。もったいないから、これからもこの食材だけじゃなくて未利用の部分で捨てるものがいっぱいあると思うので、それが誰かの目に留まって、再利用されて、それを誰かが幸せになるんだったらいいかなと思う」

【記者MEMO】
琉球大学病院内のがじゅまるラウンジは医学部生だけでなく一般の方もお弁当を購入できます。

イカコロッケやイカトッポギなど、セーイカの商品開発にも挑戦しているそうです。