先月、二度にわたる台風でほぼ全島で断水した八丈島ですが、今、断水は解消し町営浴場も営業を再開しました。水問題の対策には能登半島地震で培ったノウハウも生かされました。

シャワーから水が出るのは1か月半ぶりのこと。八丈島の町営浴場では先週金曜、翌日の営業再開にむけて準備が進んでいました。

八丈島は先月、二度にわたって台風の直撃を受けました。土砂崩れで浄水場7か所のうち2か所と、街を結ぶ水道管が破壊されるなどして島のほぼ全域4100戸が断水。

都は15日、残る5か所の浄水場だけで断水を解消させましたが、町営浴場を再開させるほどの水は賄えませんでした。それが…

記者
「新しく作られた浄水設備です」

台風からわずか1か月余りで新たな浄水設備が完成。その心臓部が、このろ過装置です。小型ですが1時間に15トンの水を浄化できるもので、東京都はこれを本州から運び、設置したのです。
 
東京都水道局 応急復旧隊 田中卓也 隊長 
「水道管を引き直すのはかなり時間がかかる。活用できる水源を生かして浄水処理装置を設置し、早期の通水を可能に」

実は、この装置には実績があります。2年前の能登半島地震。東京都は、このろ過装置を輪島市に設置し、今も480世帯に水を供給し続けています。その時のノウハウが今回生きたのです。

いよいよ、町営浴場再開。浴槽には新たに利用可能になった水で温度調整された温泉がなみなみと張られていました。

住民
「シャワーがあって最高によかったです。いつも温泉を使っているので生活のリズムが戻ったという感じ」
「少しずつ日常が戻ってきて、ちょっと前向きな気持ちになってきた」

島の食堂では、新鮮な刺身が出せるように。漁で使う大量の氷を作ることができるようになったからです。しかし…

藍ヶ江水産 店長
「乾燥機が屋上に設置してあって、それが飛んじゃったんで乾燥ができない。だからくさやが作れない」

さらに、土産物店では…

土産物店 店員
「お客さんが減っちゃって、ちょっとどうしようっていう感じ」

こうした中、都は先週、中小企業支援など島の復興対策に39億円を盛り込んだ補正予算案を発表。

東京都 小池百合子 知事
「被災者や事業者への支援、これを加速させる」

復興に向けて、正念場が続きます。