星野リゾート代表 星野佳路さん
「コロナ禍前は確かに数たくさん来ていましたが、いい状態だったかというと、そんなにいい状態ではなかった。私達はコロナ禍前に比べてどう変えたいかをもっと積極的に考えるべきだと思う」
こう語るのは星野リゾート代表の星野佳路(ほしの よしはる)さん。国内外にリゾートホテルなどを運営し、県内でも宿泊施設を中心に7つの施設を運営しています。
2019年、1000万人をこえた沖縄への観光客。しかし、それを新型コロナが襲い、翌年の観光客数は400万人台を割り込み、さらに去年は301万人とおよそ30年前の水準まで落ち込みます。
星野リゾート代表 星野さん
「日本全国、いま国内外含めて60か所の施設を私たち運営しているが、沖縄は難しかったところの1つ。そのマイクロツーリズムも沖縄県内では中々、機能しなかったというのは私たちの沖縄での結果だったと思う」
自宅からほど近い短距離観光のことを指す、マイクロツーリズム。コロナ禍の観光業界を救う手段の1つとして、星野さんが提唱し大都市圏のそばにある観光地や温泉地などでは効果をみせましたが、周囲を海に囲まれた離島県の沖縄ではうまく効果を発揮できませんでした。
このような状況でも、県内にある星野リゾートの宿泊施設は…

星野リゾート代表 星野さん
「2019年比でみればそれは低いが、大きく下げるというよりもある程度のところで踏みとどまっている。ポイントの1つは単価をしっかり維持したということ」
売り上げ確保のため価格を下げる施設もある中で単価を維持し続けた星野リゾート、どうしてそれが可能なのか…
星野リゾート代表・星野さん
「旅行といえば海外だっていうマーケットは日本の中で大きかった。それがコロナになって初めて日本国内を見直してみようというお客様がいて、北海道や日本の有名観光地、沖縄にもこの機会に来ていただいた。日本国内の観光をこういうお客様に見直していただくチャンスだったと思う」
コロナ禍で海外への渡航がままならない中、星野さんは国内客を県内の付加価値の高い自分たちの施設へと導きました。そして雇用調整助成金を活用して多くの社員の雇用を守り、宿泊客へのサービスの質を維持、利益の確保につなげました。

これからの観光はコロナ禍前に出来なかった量から質への転換が重要だと考えています。
星野リゾート代表 星野さん
「とにかく毎年、数を追っていこうと、去年より何人増えたかで評価して、これをやり続けてきた。その結果どうだったかというと、相変わらず(年間を通した観光客の)平準化は達成できないし、そして観光産業が強い沖縄でありながら、そこに従事する人たちの時給単価は全然上がらなかった。それを単にコロナ禍が終わったからといって元に戻すのではなく、コロナ禍前にあった課題を解決できるような、そういう戻し方をしていくことが大事だと思うし、それを私達で積極的に変えていくことはすごく重要だと思う」
価格を維持し、質の高いサービスを提供する社員を守ることで、宿泊客の満足度があがりリピートや長期滞在につながるサイクルに繋げる星野リゾート。県内では質の向上に向けた取り組みが進められています。