米兵による少女に対する性的暴行事件が2023年12月に発生していた沖縄。事件に対応していた警察や検察、また外務省は、その後およそ半年もの間、県側に事件発生を知らせていなかった。
この問題の経過と背景を平良優果記者が解説する。(以下、平良記者)
まず、事件発覚の経緯をみていきます。
去年12月に事件が発生、その後、県警による在宅捜査が続いたあと、今年3月に県警が米空軍の男を書類送検し検察が起訴しています。3月に検察が起訴したタイミングで外務省はエマニュエル駐日米国大使に抗議したとしています。
ーーただその後6月26日まで、起訴から3か月間、県への連絡は一切なかったんですよね
はい。また、ここまでの間、県内では1月に、普天間基地を辺野古・大浦湾に移設するための埋め立てに向け、政府の “代執行” により大浦湾側の工事準備が進みました。
5月にはエマニュエル駐日米国大使が先島(石垣島や与那国島)を訪問し自衛隊基地などを視察。6月には県議選が行われました。
4月には岸田総理の訪米もあり、県や政府、米側にとって重要な日程が続いたタイミングでもありました。
私は5月のエマニュエル大使の与那国島の視察を現場で取材したのですが、エマニュエル駐日米国大使に大使はこのとき終始にこやかに、笑顔をみせながら取材対応し、日米の安全保障上の連携強化の必要性を強調していました。

ただ、その時点で大使は未成年の少女を巻き込んだこれだけ重大な事案が沖縄で発生したことを認識していて、そのことについて一切の説明もないまま今後の日米の連携強化ばかりを強調していたわけです。
「隣国が危険だから」と、“有事” のための連携強化を訴える前にまずは繰り返される基地から派生する諸問題、県民の日頃の暮らしに与えている影響から見直す、対応するのが先だろうと、大使の行動には違和感を感じます。