店を支えた家族 お客さんへの感謝を伝えて走り抜ける

ジラさんへの恩返しのために店に立つ。その思いは、家族みな同じ。
40歳の時から店を手伝ってきた娘の洋子さんはいま、持病が悪化し、少し動くだけでも息があがってしまう。

それでも、お客さんに感謝を伝えようと、最終日まで、できる限り店に立とうとしている。

▽玉城洋子さん
「(母・ジラさんは)貧乏人の娘だった。一生懸命、学校にも行かず働いてきた人だったから、困っている人にはいつでも手を差し伸べた人なんです」
「母が作ったこのお店を愛してくださってね、やっぱり少しでもそれに応えるべく、みんな、工場長も頑張ってきた」

▽玉城吉蔵さん
「いま材料が高騰してですね、もう何から何まで、維持するのが大変なんですよね。もう心は決まっている。だから悔いはない。一生懸命やったんだから」

土砂降りの日でも名残りを惜しんで訪ねてくる常連客たち。
店がなくなる寂しさを抱えながらも、長年の苦労へのねぎらいの気持ちが勝る。

▽客
「小さい頃から知ってるから、もうすぐそこに住んでいたので、何か言うことというよりも…お疲れさま、ですかね」
▽店員
「ありがとうございます、またお越しくださ… ありがとうございます」
▽客
「来週までだけどね」
▽店員
「だからね。(最終日の)31日まで来てよ」


▽玉城洋子さん
「ありがとうね」

▽玉城洋子さん
「励ましてくれて、今までご苦労さまって言ってもらえることへの感謝。母がずっと守ってきたお店ですから、ひとりでも笑顔にできて、安くおいしくという気持ちでね。そういう理念を持って母が作ったかまぼこ屋ですから」

貧しい暮らしのなかで、ジラさんがはじめたジランバ屋。家族がつないだ100年にわたる感謝のリレーは、まもなくゴールを迎える。

ジランバ屋の営業は、2024年5月31日まで。(取材:RBCリポーター比嘉チハル、黒島ゆりえ、喜久本愛理)