7月10日の大雨では、6年前に起きた九州北部豪雨の被災地も再び被害を受けました。大分県が改修工事を進めていた矢先に被災した場所もあり、従来の治水対策に限界が見えてきています。
働く災害力の方がそれ以上に大きかった
2017年の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた大分県日田市の小野地区。大規模な土石流により1人が死亡し、多くの住宅が倒壊。また、土砂が川の流れをせき止め、浸水被害に見舞われました。

(井口記者)「6年前に大規模な土石流が発生した日田市の小野地区です。県の地すべり対策工事は今年度完了予定だったのですが、コンクリートが崩落しています」
県はおよそ30億円をかけて、小野地区の地すべり対策工事を実施。工事は今年度完了予定でしたが、今回の豪雨により再び一部が崩落しました。また、6年前の豪雨で被災し復旧工事を終えていた河川の護岸も各地で損壊しています。

改修したばかりの場所が被災している現状に、治水対策に携わってきた九州大学の小松利光名誉教授は「これが不十分だというよりは働く災害力の方がそれ以上に大きかったんだろうと我々は考えます」と話しています。また、小松名誉教授は局所的には被災しているものの減災には一定の効果があったとみています。
九州大学(防災工学)・小松利光名誉教授
「小野川に流木捕捉施設を県が作っているけどこれも機能している。もしやっていなかったらもっとひどい状況に。完全な防災には至らなかったのかもしれないけど、減災にはかなり効果があったのではないか」
