コロナ禍や燃料の高騰で経営が悪化している大分県内のタクシー事業者が運賃の値上げを求める要請書を国に提出しました。苦渋の決断に踏み切った背景を取材しました。

国が地域ごとに上限額を定めるタクシー料金。県内では2020年2月に運転手の待遇改善を目的に実質的な値上げが行われました。

こうした中、大分市の大分シティタクシーは9月26日に新たな運賃改定を九州運輸局に要請しました。

(大分シティタクシー・漢二美社長)「いろいろな面で経費が増えるなかで、運賃改定をどうしてもしてもらわないといけない」

運賃の改定案は初乗り1キロが現在の500円から600円に引き上げ。加算額は181メートル50円を270メートル100円に変更し、実質3割程度の値上げを求めています。

タクシー業界では売り上げの6割が運転手の給与にあてられ、燃料代や一般管理費などを差し引いた部分が利益となります。しかしコロナ禍で売り上げは4割減少し、燃料費は2022年に入って4割ほど増加。赤字経営が続いているといいます。

(漢二美社長)「赤字ではない会社は1社もない。原資は運賃しかないのでみなさんにご理解を賜って、我々の切実な思いも聞いていただきながら、持続できるような業界にしないといけない」

県内では多くのタクシー事業者が同じように値上げを求める見通しで、九州運輸局の審査が通れば2023年7月にも運賃の改定が行われます。