こだわりは “おいしい水”を与えること

溝田さんは南島原市の補助金を受け、岡山から「凍結解凍覚醒法」という処理が施されたバナナの苗を購入。

種子などを、マイナス60度までゆっくり冷却し、ゆっくり解凍すると、寒さに強くなるほか、生育が早まり、収穫量を増やすことができるそうです。

2022年6月に植えた時70センチほどだった苗はぐんぐんと生長し、8月には溝田さんの背の高さほどまでになりました。

溝田敏行さん:
「どんどんジャングルみたいになってくるんで、すごいなーって。一番最初は驚きでした」

ある日突然、葉とは違う何かが出てきて次第に垂れてきます。「苞(ほう)」と呼ばれるもので、これが一枚ずつめくれ、内側に白っぽい花を先端につけた小さいバナナが姿を現します。
これが全てめくれるとバナナの房になるのです。

実が十分大きくなるまで4か月ほど待ち、バナナの角ばりが取れてきたころが収穫のタイミングです。

収穫したバナナは、温度や湿度など一定の条件下で数日間 “追熟”させると黄色くなります。

1本ずつ包装し、箱詰めして出荷。価格は、1本750円~1,000円です。

溝田敏行さん:
「ベストな状態が、茶色の斑点が出てきた時に食べて頂くと、皮が薄くて、ねっとりとした具合で召し上がれると思います」

ホタルバナナを作る上で最もこだわっているのが “水”です。初夏には蛍も舞う「有馬湧水ホタルの里」で汲んだ湧水だけを水やりに使っています。

雲仙岳の浸透水が自然に湧き出していた場所を水汲み場として整備工事したのが敏行さんの祖父でした。

敏行さん:「それもあったんで、農業するんだったら絶対この水(を利用しよう)」

「ホタルバナナ」の名前は「有馬湧水ホタルの里」に因んでいます。
夏場は毎日、水汲みに行き、ハウスそばのタンクに移し変えて水やり。かなりの重労働です。

敏行さん:「バナナもですね、やっぱり人間同様おいしい水を与える──そこはこだわっていきたい」