「アイデアソン」とは「アイデア」と「マラソン」を合わせたことばです。
参加者たちがグループに分かれ、決められたテーマに沿って”マラソンのようにアイデア出しと議論”を行い、新商品やビジネスにつながる新たなアイデアを生み出し発表します。
「アイデアソン」を積極的に開催している団体にその狙いを聞きました。

■ 終わるとヘトヘトに

主催者「制限時間は1分です。一個20秒くらいです。行きますよ。よーいスタート!」

課題の解決につながるアイデアをひたすら考え、グループで議論し、ブラッシュアップしてひとつのアイデアにする『アイデアソン』

アイデアを説明する参加者:
「健康診断の結果から減税とか増税」
「死ぬまでにやりたい10のことを確実に実現させてくれるアプリ」

短くても数時間、長いければ数日かけることもあり、終わるころには…

参加者:「いやあ、疲れました」

■ 医療・IT・学生など異業種交流の場

今月4日に開催された『ヘルスケア・アイデアソン』には、医療関係者やIT企業の従業員などおよそ20人が参加しました。テーマは長崎県の健康課題の解決です。

人口10万人当たりにおける長崎県の『ガンの入院患者数』は全国5位。
肺疾患・高血圧の患者数も上位で、『喫煙率の高さ』や『野菜摂取量の少なさ』などが原因に挙げられています。

参加者:「予防医学」
参加者:「そっちの方が大事ですよね。”予防”」
参加者:「確かに」
参加者:「そっちの方が安く済むってね。”予防” でた。いいワード」

この日は3人程のグループで意見を出し合いながら、およそ4時間かけて考えた『最終的なアイデア』をそれぞれ披露しました。

参加者:
「ふくらはぎに快楽成分がでる機械をつけて歩くのが幸せになる装置をつくる」

参加者:
「歩いた分の差額が戻ってくる定期券。終点の前で降りて歩くってことは意味がないことだったんですけど、この差額の分を ”マイル”や”電子マネー” でキャッシュバックする」

アイデアソンでは、そのアイデアが実現できるかどうかは問題ではありません。
他人からアイデアを否定されることがないからこそ 生まれる『自由なアイデア』と『参加者同士の交流』が魅力です。

伊崎脳神経外科 内科 宮崎 靖浩さん:
「突拍子もないアイデアとかでも、実現化するためにはどうするかっていうところを話し合えたのはすごい良かった」

京セラコミュニケーションシステム 河野 秀樹 技術戦略部長:
「私たちは誘致されて来ている身でもありますので、長崎の中で色々できたらいいと思っていてそのきっかけになったと思います」

日本理工医学研究所 古達 慶一さん:
「日頃会えない業種の方もいるんで。そういった方からいろいろアイデアをいただくっていうのは、貴重なことだと思います」

■ 生まれたアイデアを新事業につなげる

主催した「ナイガイクルー」は、長崎市や十八親和銀行で作る新規事業創出の支援団体です。

ナイガイクルー 山田 貫才さん:
「アイディア出すっていうのももちろん大事なんですけど、いわゆるコミュニティを作るっていうところを今回の目的に置いてたので」

この団体が アイデアソンイベントを開催するのは今回で3回目。
企業同士だけでなく『事業を起こしたい若者たち』との出会いの場をつくるのが狙いです。

ナイガイクルー 山田 貫才さん:
「あの人と一緒にこういうことをやってみようとか、あそこの会社さんと一緒に、ちょっとこういうビジネスとか作ってみたんだけどとか。先々ではそういうプロジェクトが生まれて、ビジネスになるようなものができればいいなっていうところを見据えてやっています」


『ヘルスケア・アイデアソン』に参加した現役大学生の鬼塚 俊佑さんです。
長崎県立大学 情報システム学部 鬼塚 俊佑さん:
「交流することもできたのでとても楽しかったし面白かったです」

■ 野菜くじで医療費を削減

『起業家育成プログラム』でグランプリに輝いたこともある鬼塚さんが、”健康のために野菜の摂取量を上げよう”と考えたアイデアが、野菜を買ったレシートで賞金が当たる『野菜くじ』です。

長崎県立大学 情報システム学部 鬼塚 俊佑さん:
「ちょっといつもより多めに野菜を買ってみようみたいな。そういう仕組みができたらみんな野菜をもっと消費するようになって栄養素取れて健康になるんじゃないかなっていうアイデアです」

スーパーなどで野菜を500円分買うごとに、レシートに『くじの番号』が記載され、抽せんで宝くじのように賞金が当たるというこのアイデア。
賞金などの財源は『参加企業からの手数料』と『自治体の公費』を見込んでいます。
自治体の負担は一時的に増えますが、それ以上に医療費を抑える効果があると考えています。

長崎県立大学 情報システム学部 鬼塚 俊佑さん:
「年間の長崎県の医療費(負担)が300億とか400億だった気がするんですけど、1等が1千万だったとしても、医療費の1%以下のお金でくじをすることができるので、みんなが健康になってくれれば、医療費を効果的に削減することができるんじゃないかなと思います」

鬼塚さんは、このアイデアをさらに磨き上げ、今後、自治体や地元スーパーへ売り込んで行きたい考えです。

一方、「ナイガイクルー」はアイデアの実現に向けたフォローも行なうことにしています。

ナイガイクルー 山田 貫才さん:
「何かこういいアイディアが出て終わってよかったよねっていうふうに終わるわけではなくって、お金を稼ぐところのあの手前のところまで事業化までの支援をさせていただいてるので、実際具体的な案件が出て、プロジェクトになった場合は、もうずっと伴走で支援をさせていただきます」

課題解決だけでなくコミュニティをつくる機能も期待されるアイデアソン。今後、注目のイベントとなりそうです。