長崎県波佐見町の陶磁器メーカーがキャンプでも使える陶器製のアウトドア調理器具をこのほど開発しました。
金属製が中心の”クッキング ギア”の世界に新たな風を吹き込もうとする波佐見焼関係者の挑戦を取材しました。


ここ数年続くキャンプブーム。
最近は”クッキング ギア”と呼ばれる調理器具に凝る人たちも増えています。

■ 特殊な土で 温度差350度にも耐える

中でも注目を集めているのは金属製とは一線を画す波佐見焼のギアです。
『直火への耐久性』を備えながら、日常的な料理にも使える優れモノです。


藍染窯 吉田 萌生さん「キャンプでしか使わない、キャンプだから使っていた、みたいなところがあると思うんですけど、『普段使いをしながらキャンプに持って行く』っていう提案が今回できればなと思います」

焼き物の里・波佐見町。

開発した「藍染窯」は、創業32年目。スタッフの年齢も若く発想が柔軟です。

商品名はhiking(ハイキング)とhome(ホーム)をあわせて「hime(ハイム)」
「アウトドア」と「家庭」どちらでも使ってほしいとの願いが込められています。

吉田さん:
「この土は、ペタライトという特殊な石を砕いて混ぜていますので、JIS規格を通ってまして、350度という温度差に耐えられる試験はクリアしています」

特殊な土を使っているため急激な温度差でも割れることがなく、直接火にかけられるのが一番の特徴です。


金属と違い、釉薬次第で色づかいを楽しむこともできます。


吉田さん:
「アースカラーを意識して、キャンプに持っていったときに自然の色に溶け込むような、あえて派手過ぎない色を選びました」

今回の製品は、波佐見町内にある長崎県窯業技術センターとの共同開発です。
センターの研究員と藍染窯のスタッフでチームを作り、商品開発に取り組みました。

長崎県窯業技術センター 依田 慎二さん:
「ワイワイガヤガヤ楽しみながら、ああでもない、こうでもないとか言いながら商品作りをしてましたので。楽しんで作らないとね、いいものは作れないかなというところもあるので」

実は窯業技術センターの依田さん達もアウトドア好きで、開発チームで一緒にキャンプすることもありました。
原型を作る段階からキャンパー目線が生かされました。

求めているのは『使いやすく、壊れにくい形』
3Dの設計機器を使うことで作業効率は大幅にアップし、シンプルながらスタイリッシュな土鍋と陶板が出来上がりました。

依田さん:(土鍋スキレットの蓋部分の3D設計画像を見せながら)
「まず塊を作って。そこから”切り取って”(二の字の取っ手がある)形になります。普段のデザインの仕方だったら、”(取っ手用の)板を作って付ける”というような形になるんですけど。安心感・安定感を求めるために ”塊をまず作って そこから彫り出す” という形でデザインしました」

吉田さん:
「大体話がスタートしてから1年半くらいで製品化できたんですけど。(単独であれば)多分もっと倍以上の月日がかかっていたと思いますし、共同開発をする中で今まで自分たちだけでは出なかった意見が出たりとか」

依田さん:
「これまでにない商品、これまでにない市場に向けて商品開発をしたいという企業さんの要望なので全面的に支援していきたいと思っています」