やなぎクリニック 柳 忠弘 理事長へのインタビュー(全文掲載)
小児科医の 医療法人 やなぎクリニックの柳 忠弘 理事長に話を聞きました。
以下、インタビューの全文です。
※柳の漢字は正しくは木へんに「夘」
Q. こちらでもヘルパンギーナの患者さんは増えているんですか?
A. 最近、増えている印象ですね。ここ数年、コロナ以外に感染症が少なかったんですけれども、今年になって5月終わりぐらいからですね。増えてきたなという感じがしますね。
(ヘルパンギーナは)4月ぐらいから関東の方では少し話が出ていて、だいたいインフルエンザとかもそうなんですけど、関東で流行って福岡来てみたいな感じで。だいたい1ヶ月ぐらい遅れて長崎に来るので、もうちょっとしたら(流行のピークが)来るのかなと思っています。
Q. 口の中の水疱というのが一番の特徴になると思うんですが、他にはどういう症状があるんでしょうか?
A. 急に出る高熱というのが1つですね。それに喉にプツプツとした水疱がでてくる。これが揃うと臨床的にヘルパンギーナかなという診断をつけます。
Q. 嘔吐などの症状はいかがでしょうか?
A. もともと原因になるウイルスが『エンテロウイルス』というものなんです。
喉で増えるんですが、お腹の方──小腸でも増えるウイルスなんですね。
一般的には『ヘルパンギーナで腹部症状』はあまり書いていないんですけども、吐き気が出たり、遅れて下痢が出る方も中にはいらっしゃるという印象ですね。
Q. どういう風に感染していくんでしょうか?
A. 1つは『飛沫感染』ですね。結構強いウイルスなので、小さいお子さんの場合、喉が痛くなって、よだれが多くなってきたときに触って。これをまた別の何かを触ってうつってしまうということがあります。『飛沫感染』とか『接触感染』と言われる形ですね。
もう1つは『糞口感染』といわれるタイプで、お腹の中でも増えるウイルスなので、便の方にも出てくるんですね。(ウイルスは)結構長い期間出るんですけれども、その辺りの取り扱いとかで手洗いが不十分だったりすると、うつるということはあるかなと思います。
Q. 5歳以下が多いということですが、大人は罹ることはないんでしょうか?
A. 型がいくつかあるんですけれど、大人でも“全く罹ったことがない大人”だと発症する可能性もあるかとは思いますが、だいたい小さい時に、夏場、必ず流行ってくるものなので『毎回、罹って免疫がついていく』という感じですね。
しかも、だんだんと免疫がついてきて症状がほとんど出ないまま他人にうつしているのが半分ぐらいじゃないかとも言われているんですけども、そうした場合には『知らない間にもらって、また免疫がついている』ということになるので、貰ってるけれども、“発症していない”という方がほとんどではないかと思います。
Q. 気づかずに広がっていることがあるということですね?
A. そうです。それが小さなお子さんにとっては『初めて(ウイルスを)もらって感染して症状が出てくる』という形になりますね。
Q. 感染を防ぐためにはどういった対策が有効でしょうか?
A. 手洗いが一番重要になってくるかなと思いますね。
なかなか保育園とか幼稚園とか集団生活をしていると、お子さん達が手を口に持っていくことを防ぐというのは難しいんですけれども、それでも流行している時には、扱うものですね──おもちゃとかも小まめに消毒される、拭いてあげるとか、あと便の処理ですね。
その時に処理される方──保護者の方、保育園の方は手洗いをしっかりとしていただくということですね。