美術作家 徳永博子さん:「すごい!木の中に山が存在する!と思って。」

それを表現するため、アクリル板の透明を活かし、木目に重ねるように、山の等高線を描いています。

■アーティストとしての思いと自身のルーツからの“祈り”

徳永さんには、美術作家であり続ける上で、一つの思いがあります。

美術作家 徳永博子さん:
「美術の世界ってすっごく狭い。なんか浮世離れした人間になりたくないって思った。ちゃんとこう“社会の歯車”になりたいというか」

アーティストとして、社会にどう参加するか ──
先月、その理想形と言えるチャンスが訪れました。

アメリカ・ニューヨークのギャラリーで、日本の液晶ディスプレイメーカーが開発した透明のディスプレイとコラボレーションした作品を展示。

新技術の紹介に一役買いました。

美術作家 徳永博子さん:
「自分が社会にちゃんと交わって『アーティストという立場で貢献していける』っていう手応えっていうものを、今回のニューヨークでの展示では感じることができたなと」

活躍の場が世界に拡がる一方、同じ時期に開いた長崎での個展は、自身のルーツを再認識する機会にもなりました。

『Like my god』”私の中の神様のようなもの”
様々な宗教を受け入れてきた長崎からインスピレーションを受けました。

美術作家 徳永博子さん:
「文化的にも歴史的にも受け入れて来た場所だから。そこで育つと、そりゃ、受け入れやすい人ができあがるんじゃないかと」

木版画家・北村早紀さん(長崎県出身):「確かに。それは意外と思う」

同じアーティストである後輩や夫と話す中で、自分の制作スタイルや作風に長崎の性質がにじみ出ていたことに気づかされました。

木版画家・北村早紀さん:
「祈りの空気感はすごいあるなーってずっと思っていて。長崎の全体には『拓けてるけど どこか性質に“祈る”』みたいなところがあるのも不思議だよなーと思ってたから。
特に最近の作品でそこらへんを強く感じてたので、なんか祈りっていうのは一つキーワードじゃない?みたいな」

美術作家 徳永博子さん:
「そっか!ってすごく納得できるところというのがあって。
良い言葉!すごい良い言葉!ってテンション上がって、ありがとうと」

■ ワクワクする方を選ぶ

自身のルーツを見つめつつ世界に羽ばたく徳永さんの今年のテーマは…

美術作家 徳永博子さん:
「『楽しい方を選ぶ』です。楽しい方っていうのは決して楽な方の道ではないので、根本的に自分がワクワクする方を選べればいいと思っています。ポジティブな判断の先にあるものの方がポジティブだと思うからですね」

楽しい方は、きっと進化に繋がっているはずです