幾重ものアクリル板を細かく削り作品を制作している美術作家・徳永 博子さん。
国内外で活躍する徳永さんの繊細で独特の風合いをもつ作品の世界観に迫ります。

神秘的で不思議な味わいの作品です。

繊細な線が、目の前に浮いているかのよう美術作家・徳永 博子さんは “アクリル板を使った独自の技法”で国内外から注目されています。

■ なんで始めてしまったのか…苦行と思うことある(笑)

美術作家・徳永 博子さん:
「歯医者さんが歯を削るような機械があって。それでアクリル板一枚に対して、表と裏を削って、それを3枚重ねて…それで6層ですね。

で、一番奥にミラーがあるので、さらに12層のボリュームに見えるように制作しています」

森を下から見上げた時の“枝や葉の重なり”を表現した作品『In the forest2』は下書きなしで、フリーハンドで緻密に削っています。

徳永さん:
「これ、なんで始めてしまったんだろうと思うぐらい。ちょっと、これほんとに終わるのかなって。苦行みたいな感じがちょっとあります」

現在の拠点は関東ですが、長崎県諫早市多良見町の出身。
子どもの頃から、何かをつくるのが好きでした。

アクリル板との出会いは長崎日大高校デザイン美術科を卒業後 ──
当時、油絵の重ねた絵具を削って作品を制作していました。

徳永さん:
「それを見た大学の予備校の先生が『削るんだったら、透明なもの削ったら面白いんじゃない?』っていうことを言われたのをきっかけに。やってみたら、結構面白くて」

■ 上五島のマリア像にインスピレーション

現在、徳永さんは、7年ぶりとなる長崎での個展を開いています。
店舗に併設されたギャラリーに19点が展示されています。

女性客:「根気がすっごい要る手作業だなと思って」
女性客:「レースとかを貼った感じなのかなって思ってたんですけど、彫ったって言われて、あぁ、彫ったんだ!って」

作品『Like my god』は、初めて訪れた上五島の教会で、岩穴に安置されたマリア像に、なぜか懐かしさを感じたことが制作のきっかけとなりました。

徳永さん:
「なんでこう懐かしい雰囲気があるんだろうと思って見てて色々考えたら、結構、お地蔵さんだったりとかを思い出して。

海を越えて日本に入ってきた宗教ではあるんですけど、日本に根付いて、日本の方が信仰して、建物も日本人が造ってってやっていけば、そりゃ日本っぽくなるんですよね。それがなんかすごくいいなと思って」