
三浦達美さん「次々に被爆者が来るんですよ、着ているものは焦げてね、やけどを負っているような状況でした」「それからここが被爆者の収容所になったんですよ、本堂からずらっとこちらの広間のほうまで被爆者を収容したんです、やけどは非常に痛みがひどいんですね、それに耐えかねて叫び声を上げる、うめき声を上げるそれがずっと住まいのほうまで聞こえてくるんです、中には泣き止まない幼い被爆者もおりました」
傷を負い、寺に集まった被爆者の中には命を落とした人もいました。
三浦達美さん「檀家の若い女性でしたけど亡くなってその時の火葬の手伝いをしました。焚き木を運んだりして手伝ったんです。火をつけて火が回ったら、まず髪の毛がジリジリと焼ける、それからそのうちに手の皮が焼けて合掌していた手が大きく開く、このような状況だったです。原爆の被爆体験だけははっきり昨日のことのように記憶が蘇ってきます」

9615発。長崎大学核兵器廃絶研究センター「RECNA(レクナ)」が今年発表した「現役核弾頭」の数です。核軍拡が進んでいる現状を三浦さんは危惧しています。


三浦達美さん「今ね、一番の問題はね核兵器の問題だと思うんですよ。核戦争になったら人類破滅ですよね」「ここで思うのは、親鸞聖人の教えなんですよ。『さるべき業縁のもよおさばいかなる振る舞いもすべし』という言葉がね、歎異抄にあるんですよ。親鸞聖人の深い言葉ですね」
「業縁(ごうえん)」予期せぬ出来事に直面したとき、人は思わぬ行動をとることがある。浄土真宗を開いた親鸞聖人の教えです。


三浦達美さん「人間は邪悪な存在なんですよ本来、だから絶えず戦争を繰り返してきた歴史ですね」「いかに人間、自分自身が危険な存在であるかを自覚することだと思います」「いくら核兵器を使わないと思っても、縁次第では核兵器の引き金を引くことになりかねないというのが人間だと思うんです。だから、核兵器の廃絶以外はないと思いますね」

二度と悲劇を繰り返さないために。三浦さんは、それぞれの人たちが心の中に平和の砦を築く必要性を説いています。

「戦争は人間の心から起きるという、自分自身の内面を省みて変えていくことが大事じゃないでしょうかね」