与謝野晶子も「無痛分娩」を選んだ
日本で最初に無痛分娩を行ったのは、歌人・与謝野晶子だと言われている。1916年(大正5年)、5男の出産を間近に控えた与謝野晶子は、自身の著書「無痛安産を経験して」の中で、「避けられる痛みを避けずにいるのは、無益な辛抱だと考えている」と綴っている。
日本では、1963年に「日本産科麻酔学会」の前身となる「分娩と麻酔研究会」が発足し、無痛分娩が普及し始めた。
無痛分娩は安全なの?
2017年、無痛分娩に関連した医療事故のニュースが報道され、その安全性について、妊産婦さんの間に不安が拡がった。

改善策を検討する目的で、厚生労働省は「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」という特別研究班を立ち上げ、2017年度末に同研究班は検討結果を「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」にまとめ、公表した。
「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」
●無痛分娩取扱施設は、無痛分娩を希望する妊婦とその家族が、分かりやすく必要な情報に基づいて分娩施設を選択できるように、無痛分娩の診療体制に関する情報をウェブサイト等で公開すること。
●無痛分娩に関わる学会及び団体は、妊婦とその家族が、必要な情報へのアクセスを容易にするため、情報公開を行っている無痛分娩取扱施設をとりまとめたリストを作成し、ウェブサイト上で公開するとともに、妊婦とその家族、無痛分娩取扱施設等に対して、このような取組の更なる周知徹底を図ること。
「JALA」発足 サイトで情報発信
提言を実現し、より安全な無痛分娩を提供できるようにするために、無痛分娩に関係する産婦人科、麻酔科関係の学会・団体や日本医師会、日本看護協会が参加して、2018年7月に無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)という組織が立ち上がった。
2019年3月にはウエブサイト「JALAサイト」で一般向け、産科医や麻酔科医などの人数・無痛分娩の実施施設など情報発信を行っている。
しもむら産婦人科 下村修医師:
「安全な医療体制のもとで無痛分娩を行えば、正常なお産ができます。JALAに掲載されている情報などを確認し、麻酔に精通した医師や医療スタッフ体制が整っている施設を選んで、お産をしてほしいです」