心を照らした"推し" 〜50代女性の場合〜

50代の女性は、人生のどん底を支えてくれたのが推しだった。2人の子を持つ母である彼女。夫は、「PTAの飲み会」さえあまり良い顔をしない人だった。外出する場合はすべて事前報告、そして事後報告。孤独感が増しいつしか眠れなくなっていった。

ある日嘔吐して倒れ、病院で検査を受けると「ストレスだね」と言われた。心も身体もが疲れ果て、日に日に自分が冷たくなっていくようだった。

そんな中、ネット配信で偶然見かけた「SOLIDEMO」(ソリディーモ)の歌声に、心臓が跳ね上がった。Youtubeで音楽を聴きまくり、配信で人柄に触れると、恋をしているようにトキメキがあふれまくり、乾ききっていた心が満たされ癒されていった。

"推し"が結ぶ、新たな絆

2022年にグループは解散。メンバー2人がオーディションをへて加入した新グループ、「SHOW-WA&MATSURI」のMATSURIに推しは変わった。

接触イベントに行って‟沼”にはまった。推しが自分の顔も名前も覚えてくれて、もうときめきはとまらない。のちに夫とは離婚するが、そのきつい時期も心の支えになってくれた。

母の推し活に、中学生の娘は「またやってるよ…」と呆れながらも応援してくれている。コンサートについて来てくれることもある。

イベント先では全国から集まる推し仲間もできた。推しを応援できる幸福感と充足感。それは単なる趣味や娯楽を超えた、人生の伴走者としての存在だ。

"推し活"というかけがえのない幸せ

「推し」との出会いは、時に人生の転機となり、新たな人間関係を生み、明日への活力を与えてくれる。推し活を通じて見つけた喜びや充実感は金額には換算できない価値を持っている。「推し活」とは、自分らしくあることができる幸せなのかもしれない。