経済的な理由から受診をためらったすえ治療が遅れ死亡したとみられる事例が、去年全国で48事例報告されたことが分かりました。医療機関などでつくる団体は無料または低額で診療を受けられる制度の周知を呼びかけています。

長崎県民主医療機関連合会 前川晃彦事務局次長
「今の日本の社会ではお金のあるなしで人の命が脅かされているという事実があります」

県内の医療機関などでつくる長崎民医連によりますと、病気になったにもかかわらず経済的な理由から受診をためらったすえ治療が遅れ死亡したとみられる事例が、去年1年間に全国で48件報告されました。

このうち、長崎県内で報告されたのは1人暮らしの60代男性の事例で
・2020年8月、コロナ禍で飲食店のシフトを減らされ収入減に
       コロナ特例貸付4回利用
・2022年8月、体調不良で飲食店を退職し無保険に
・2022年11月、所持金200円で行政から生活保護を提案されるも拒否
・2022年12月、スーパーでパート勤務始めるも無保険のまま
・2023年2月、無料低額診療を利用しての受診希望で来院
・空腹時血糖値581、コロナのため即入院できず3月に予約
・入院予定日に自宅で意識喪失の所を発見され死亡

長崎県民主医療機関連合会 川尻瑠美事務局長
「元々経済的に不安定だった層の方々にコロナ禍が追い打ちをかけてさらに困窮しているということが予想されます」

長崎民医連では経済的に困窮している人に対して無料または低い金額で診療を受けられる「無料低額診療事業」の利用を呼びかけていて、県や市、町には窓口負担の軽減につながる取り組みを求めています。