沖縄県は29日、沖縄本島・糸満市のレストランを原因施設とする集団食中毒が発生したと発表した。170人の修学旅行生らに腹痛や下痢や血便等の症状が表れ、このうち68人から腸管出血性大腸菌「O157」が検出された。その他の有症者の一部からは別の大腸菌も検出されているという。

この食中毒は、今月14日から18日にかけて沖縄県を訪れていた修学旅行生らがレストランで提供された食事を喫食したことによるもので、現時点で把握されている被害状況は以下の通り。

- 喫食者:865人(神奈川県川崎市、山形市、長野市、東京都の高校生ら)
- 有症者:170人
- 入院者:30人
- 腸管出血性大腸菌検出者:68人(O157含む)

症状の発症日は10月16日から21日にかけてで、主な症状は腹痛、下痢、血便などとなっている。

今回の集団感染は、今月22日、修学旅行で沖縄県を訪れた神奈川県川崎市の高校生が体調不良を訴え、うち5人から腸管出血性大腸菌O157が検出されたことから調査が開始された。

その後24日には山形市と長野市からも、同時期に沖縄を訪れた高校生に同様の症状が出ているとの情報が寄せられ、28日には東京都でも体調不良者が複数確認されているとの情報提供があった。

保健所の調査で、これらの修学旅行生には糸満市のレストランでの共通する食事があったことが判明。

複数の有症者から腸管出血性大腸菌O157が検出されたことや、症状及び潜伏期間が腸管出血性大腸菌による食中毒の特徴と一致していることから食中毒と判断され、保健所は29日、このレストランに対して飲食店営業の全ての営業を禁止する行政処分を行った。

沖縄県薬務生活衛生課によると「腸管出血性大腸菌」は、牛などの家畜や人のふん便から見つかることがある細菌で、汚染された食品や水を通じて経口感染する。潜伏期間は平均2日〜8日と比較的長く、主な症状は腹痛、下痢、血便、発熱など。

乳幼児や小児、基礎疾患のある高齢者では、まれに急性腎不全、貧血、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こし、命にかかわる場合もある。また感染力が強く、人から人への二次感染も起こり得る。

こうした食中毒を防ぐには、食品の十分な加熱(75℃、1分間以上)や、生肉を扱った後はよく手を洗うこと、生肉を取るはしと食べる時のはしを分けること、タオルの共用を避けることなどの感染予防策が重要だ。

手指の消毒が感染予防の基本