長崎大学 永安武学長:
「(鑷子は)フィーリングが大事だって私は言ったんですけど、我々はすぐこうやって(手のひらを)つまむんですよ。これが他の製品ではできないんですよね。こうやって膜をつかむことができる──これだけでも『この製品、いけるね』っていう感じですね」

サメ肌鑷子の機能を証明するため、長崎大学では実験を行いました。小さなビーズをつまんで別の器に移す実験です。学生、研修医、ベテランの医師まで30人を動員し、従来のピンセットと速さと扱いやすさを比べました。

結果はサメ肌鑷子の圧勝。実際に手術で使用した救急対応の現場からは驚きの反応もあったといいます。

長崎大学 永安武学長:
「気管切開って結構、緊急でやりますから、みんなもう、やる側も焦ってやるんですけど、そんなときに、膜(を鑷子でつかむときに)ツルン、ツルンとなってたら…患者さんも状況悪くなってるし。
でも『この鑷子は素晴らしい』と救急の先生がですね(言ってくれた)『膜1枚をしっかりとつまんで持ち上げることができる』と。『非常に緊急性の高いときに役に立つ』って」
これで長崎県民の一員になれた

これは製作した事業者にとっても大きな意味のある開発でした。

KTX野田太一社長:
「長崎県内に工場を構えて、長崎県に何か足跡を残すってことがなかったんですけれども、今回、この鑷子を長崎大学さんに納品することで、ちょっと長崎県民の一員になれたかなっていう、ちょっとそんな自負があります」

サメ肌鑷子は医療器具としての認定も受けました。長崎大学ではサメ肌加工が持つ可能性に大きな期待が集まっています。

長崎大学 永安武学長:
「これ以外にもいろんな外科医のニーズに応えられるようなものをサメ肌加工でやっていきたいと思っております」

サメからヒントを得て作られた究極のピンセット『サメ肌鑷子』。長崎大学が培ってきた経験と、長崎で展開するモノづくりの技術その2つが融合した逸品です。