宮崎県内でドクターヘリの運用が始まって今月で10年が経ちました。

救急患者の治療や搬送に大きな役割を果たしているドクターヘリ。救命救急をめぐる環境は、どう変わったのでしょうか。

年間400件の出動


宮崎大学医学部附属病院の救命救急センターが、今から10年前の2012年4月から運用を始めたドクターヘリ。医師や看護師がヘリコプターに同乗し、病気や事故など救急患者のいる現場に急行します。



(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「現場から、ドクターヘリのドクターとナースが、病院まで、命をつないで処置するようになりましたので、確実に救命率は上がっていると思う」

ドクターヘリは、救命救急センターから最も離れている高千穂町の場合でも、要請を受けてからおよそ40分で到着することができ、この10年間、年間400件前後、出動しました。

ドクターヘリがつないだ命


(西倉孝二さん)
「草を集めてたんですよ。こうやってたら胸に違和感を感じて、痛みを。あれ?って」

2012年、当時、54歳だった日南市の西倉孝二さん。坂元棚田で農作業中、これまでに経験したことのない痛みを胸に感じました。

(西倉孝二さん)
「痛みが全然ひかなくて、汗が体中吹き出すような感じで出てきたもんだから、これは普通じゃないなと思って」


西倉さんからの通報を受けた日南市消防本部は、心筋こうそくの疑いがあると判断し、ドクターヘリの出動を要請。
その14分後にはドクターヘリが到着し、一時は、心臓が停止する危険な状態に陥っていた西倉さんは、九死に一生を得ました。

(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「急性心筋こうそくは、冠動脈という心臓の血管が詰まってしまう、それを一刻も早く通す必要があるのですが、ドクターヘリを用いますと、それができる病院にいち早く患者を搬送できる」

ドクターヘリがつないだ命。現在、63歳となった西倉さんは、今も元気に仕事を続けています。

(現在の西倉孝二さん・63歳)
「助からない命が助かっているので、10年経ってこうやって元気で仕事をしているので、ありがたいです。感謝しています」


救命率向上と体制の強化


さらなる救命率向上に向けこの10年で体制も強化されました。

2016年からは、救命救急センターの医師が、県の防災ヘリから患者のいる現場に直接降下する体制も整いました。



(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「山中の事故に出動した時なんですが、山中なので、ヘリコプターがとまれず、近くにとめて、そこから消防の車で山の中に入り、それから15分ぐらい山道に歩いてやっと患者にたどり着けた。その事案を経験してから、医師が防災ヘリに直接乗って、救助隊と一緒に現場に降りて処置をすれば、もっと対応できるのではないかということで(導入した)」

若手医師の育成も進む


また、救急救命を担う若手医師の育成も大きく進みました。

医師たちがドクターヘリで経験を積んだ後、県内各地の医療機関で活躍しています。



(宮崎大学医学部附属病院救命救急センター 落合秀信センター長)
「もっともっと、救急に携わるドクターなどを増やしていって、フライトドクターを増やして、ドクターヘリシステムを充実させて、ドクターやナースが飛び出して患者のもと行く、こういった救急診療が充実している、全国でも有数な県という形にしていきたい」

この10年で多くの命を救ってきたドクターヘリ。


中山間地域の医師不足など、医療の提供体制がぜい弱とされる宮崎県にとって欠かせない存在となっています。

※MRTテレビ「Check!」4月21日(木)放送分から