巨大地震への備えです。
宮崎県延岡市北方町に南海トラフ巨大地震の前兆となる可能性がある地殻変動「ゆっくりすべり」を検知する「ひずみ計」が設置されました。
4日、延岡市北方町に国の研究機関・産業技術総合研究所が設置したのが「ひずみ計」です。
(産業技術総合研究所 板場智史主任研究員)
「将来的には、南海トラフ沿いで発生する巨大地震の予測につなげていきたいというふうに考えています」
「ゆっくりすべり」と呼ばれる地殻変動との関連が指摘されている南海トラフ巨大地震。
「ゆっくりすべり」は、通常とは異なり、プレートの境界でゆっくり断層が動く現象ですが、地震計では計測することが困難となっています。
一方、ひずみ計は、岩盤のわずかな伸縮を計測することが可能で、産業技術総合研究所や気象庁は全国の想定震源域やその周辺にひずみ計を設置しています。
去年は九州で初めて大分県佐伯市に設置され、延岡市の観測施設では深さ250メートルの観測井戸の底にひずみ計を埋設。
ひずみ計の長さはおよそ3メートル、重さは55キロあり、先の部分に付けられたセンサーで地下深部のプレートの動きを観測することになっています。
産業技術総合研究所のこうした観測施設は全国で20か所目で、今回の工事で一連のひずみ計の設置は完了するということです。
(産業技術総合研究所 板場智史主任研究員)
「通常とは異なるスリップというものを検出するということが鍵になってきますので、まずは、この領域で発生してるスロースリップというものを詳しく把握して、通常起こってることというものを把握していきたい」
ひずみ計で得られたデータは、茨城県つくば市の産業技術総合研究所に送信され、解析が行われるほか、1年後をめどにデータは気象庁にも提供され、南海トラフ沿いの地殻変動の監視やゆっくりすべりの解析に活用されるということです。