コメの価格高騰をうけて、国は備蓄米21万トンを放出すると発表しました。早ければ、来月下旬にも備蓄米が店頭に並びそうです。

備蓄米の放出を受けた宮崎県民の反応、そして、農家の声を取材しました。

(江藤 拓 農林水産大臣)
「流通が滞っているこの状況をなんとしても改善したいという強い決意の数字だ」

農水省は、保有している備蓄米のうち2割にあたる21万トンを市場に放出すると発表。

流通の円滑化を目的に備蓄米を放出するのは初めてで、江藤大臣は、「必要があれば、さらにこの数量を拡大する」との考えを示しました。

早ければ、来月下旬にもスーパーなどの店頭に備蓄米が並ぶということです。

(田島奈緒美記者)
「宮崎市のスーパーです。こちらでは宮崎県産のヒノヒカリ5キロが4000円を超える値段で販売されています」

こちらのスーパーでは、去年の夏前までは、県産のヒノヒカリ5キロは2000円程度でしたが、この半年で価格は2倍に。
最近では、産地や銘柄が異なるコメをブレンドした価格の低い複数原料米を多く揃えているということです。

店の責任者は、ここまでコメの価格が高騰したことはないと話します。

(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「異常でしょう。今までなかった値段です」

備蓄米の放出でコメの流通量が増えれば、値下がりが期待されますが・・・

(ショッピングのだ 野田 勝 社長)
「(価格は)下がってくると思うが、(去年の)夏前のように下がるかどうかは分からない。約半分ぐらいまで下がってくれれば、皆さん助かるのではないか」

買い物客もコメの価格安定を期待しています。

(買い物客)
「(備蓄米放出を)すごく待ってました。安くなるんでしょうか。コメって必需品なので、絶対いりますもんね」
(4児の母)
「(1日に)5合2回で1升ぐらい炊いたりします。もうちょっと安くなるといいかなって思う。期待しています」

一方、こちらは、えびの市にある広さ2.3ヘクタールの水田でヒノヒカリを生産している竹下助範さんです。

去年収穫したコメの取引価格は、おととしに比べ1.5倍ほど上昇したということですが、肥料や農薬の価格が倍以上に膨れ上がっているため、経営は苦しいと話します。

(稲作農家 竹下助範さん)
「経営としては、去年、少し引き取りの値段が上がりましたが、それも要は黒字じゃないです。赤字じゃないですかね」

今回の備蓄米の放出について、コメ農家として複雑な思いを抱えながらも、政府に対しては次のように期待しています。

(稲作農家 竹下助範さん)
「コメ離れが起きないような形を作ってほしい。われわれとすれば、できるだけ高く買い取ってもらって、消費者にはできるだけ安く供給できるような形になれば、ありがたい」

コメの流通量が増えれば値下がりが期待されますが、「すぐに店頭価格は下がらないのではないか」との指摘も出ています。

今後のコメ価格の推移が注目されます。