きっかけはミシンが苦手な母の「お手伝い」…今では?

ミシン掛けが苦手な母親の手伝いをきっかけに、ミシンの魅力に目覚めた奏さん。作品づくりに加え、今ではミシンのメンテナンスもこなしてしまいます。

母親
「今もミシンで縫えるようにはなっていないです…機械が苦手で、昔から機械全般が苦手で」
奏さん
「出来ないものは仕方がないというか。誰にだって出来ないものはあるだろうし、仕方ないだろうなって。」

苦手は克服するものではなく、工夫で補い合うもの。そんな佐々木家の流儀は、イベントでの出店でも見受けられました。奏さんが不登校だったときに通っていた白山市のフリースクールです。お世話になった感謝の意味も込めて定期的に出店しています。

ぬいぬい屋SOUが扱うのは、外出用のポーチやヘアバンドといったファッション雑貨が中心です。

ぬいぬい屋SOUが扱うのはファッション雑貨が多い

奏さん
「やっぱり次回までにミニトートを量産しておかなくちゃね」
母親
「そうやね。ミニトートはやっぱり出ますなぁ」

びっしり貼られているのは、売れた商品の値札シール。シールでの売り上げ管理は、字を書かなくてもいいようにというアイディアです。

売上管理用のシール台帳


フリースクールのスタッフは、2人の関係性をこう表現します。

NPO法人ワンネススクール 心理療法カウンセラー中村広太郎さん
「親子が会話する場面では、どちらかというと“奏さんはね”と一人の存在なので、あんまり深く介入しないというのも感じるし、だけども、親として必要なところはすっと助け船が出る感じもするし。そこのバランスはすごくうまいなと思いますね。」

学習障害がある奏さんにとって、お手伝いから始まったミシン掛けが、今や彼女の自信に繋がっています。

奏さん
こういう風に不登校でも大丈夫なんだみたいな、そんな風に思ってもらえたらなと」

二人三脚の母娘


作る楽しみと、誰かが喜んでくれる顔を思い浮かべながら、奏さんは奏さんらしく、これからもいききと新たな作品作りに励みます。