一昨年6月、石川県輪島市の病院で生まれたばかりの赤ちゃんが医師の誤診で亡くなった医療事故。背景にあったのは過疎化が進む奥能登の深刻な産科医不足でした。

事態を受け周産期医療の強化を掲げてきた石川県は、高いリスクを抱えた妊婦の救急搬送時でも、リアルタイムで容態を確認できるシステムの運用を20日から始めます。

産科医不足が大きな課題”奥能登地域”

過疎化が進む奥能登地域では産科医不足が大きな課題となっています。

輪島市に住む女性
「妊娠中って何が起きるか分からないので、順調にいっていても。産科医の方がいないのをどうしていくんだろうという心配はある」

輪島市に住む女性

赤ちゃんの苦しいというサインを読み取る「遠隔分娩監視システム」

こうした中、20日から能登北部と中部、南加賀にある7つの医療機関で始まるのが「遠隔分娩監視システム」です。

モバイル型の分娩監視装置を使い、赤ちゃんの心拍の波形や、母親のお腹の張り具合、子宮の収縮などを確認することで、赤ちゃんの苦しいというサインを読み取ることができます。

早産や、出産前に胎盤がはがれる「胎盤早期剥離」などにより高いリスクを抱えた妊婦を、医療体制が整った県立中央病院に救急搬送する際、リアルタイムで受け入れる側の医師に必要な情報が届きます。

遠隔分娩監視システムの流れ

検診で装置を使用した妊娠36週の女性
「すごく着け心地も軽いので、すっきりって感じはします。先生方にとっても楽だと、こっちもいいなと」

健診に訪れた藤谷風さん

市立輪島病院 看護部浜谷由紀看護師長
「県立中央病院と繋がるというのが一番のポイントだが、(病院の)医師が1人なので、1人でも確認できるのが素晴らしいと思う」

一方、受け入れ先の県立中央病院では、搬送中の胎児の容態がわかるようになったことから、医師が病院に着く前でも妊婦への適切な対応を指示したり、処置の方針を決めたりすることが出来るようになります。

県立中央病院

県立中央病院 平吹信弥総合母子医療センター長
「心拍音の図のギザギザというのが重要、音を聞いただけではわからない。『胎児心拍数図というものを着けて初めて理解できるというところがあるので」

奥能登の産科医不足が課題として大きく浮かび上がったのは、輪島市での医療事故がきっかけでした。