特集です。
10月から始まる「いしかわ百万石文化祭2023」の催しのひとつに「全国障害者作品展」があります。
この作品展に向け、障害のある人が描いた絵などを地元デザイナーらがデザイン化し、それらを用いて傘を制作するという障害者アートのプロジェクトが進められています。
「国民文化祭」と「全国障害者芸術・文化祭」をあわせた国内最大規模の文化・芸術の祭典「いしかわ百万石文化祭2023」
その中のイベントのひとつ「きらめく個性!全国障害者作品展」で会場を彩るのは障害者アートの傘によるアンブレラワールド。

その傘を制作するため地元のデザイナーらが金沢の障害者支援施設の利用者とタッグを組み傘づくりに挑戦しました!

4月に開かれた最初のワークショップ。思い思いに絵や文字を描いているのは施設に通う利用者です。

その姿を金沢美術工芸大学出身で行政や企業のロゴやデザインなどを数多く手がけてきたデザイナー、橋本謙次郎さんらが見守っています。

デザイナー 橋本謙次郎さん:「デザイナーだけが作るのではなくて、一緒に作ったというふうにちゃんと思って欲しいなというのはすごくある」
障害のある人がデザイナーらとタッグを組み、オリジナルの文字や柄を生み出すプロジェクト。もともとは橋本さんの大学の先輩「シブヤフォント」共同代表の磯村歩さんが、全国でご当地のフォントをつくるアートワークです。
シブヤフォント 共同代表 磯村 歩さん:「デザイナーと障害のある方が一緒にこういう空気感を共有するのがこのプロジェクト結構大事なところかなと思う」

石川県版「百万石フォント」プロジェクトのスタート。
皆が心を合わせ傘のデザイン完成を目指します。
地域支援センターポレポレ 菊 義典さん:「普段から織物だったりものづくりを結構行っていて、その中で絵も描いているのでその人らしさが発揮できたらよりいいかなと思っている」

橋本さん。オフィスに戻ると利用者が描いたイラストの雰囲気を崩さずデザイン化する作業が待っています。

MRO 松村 玲郎 記者:「フォントにしていく時はそこからデザイナーの力量?」
橋本さん:「例えば小さく描いてあったとしてもそれが魅力的だったら、それを複製したりとか合成したりとか、こういうふうにまとめあげて形にできるというのはたぶんデザイナーの職の力なのかなと・・・」
7月。橋本さんはプロジェクトに参加しているデザイナーの横山真紀さんたちと、施設の利用者が描いた数多くの原画から18種類のデザインを選んでいました。


デザイナー 横山 真紀さん:「障害者の方の絵というのは私たちの想像を超えるものがあったり感動があったりする。自分たちがいいところを掘り出したといったところが最高に嬉しい瞬間で・・・」

松村 記者:「デザイナーの橋本さん、皆さんに囲まれながら密なコミュニケーションの中で、アート作品について確認作業を行っています」

この日はデザインの確認作業。
皆さん、自分が描いたイラストがどのようにできあがっているのか興味津々の様子です。
「たまちゃん」こと玉野昌弘さん。

橋本さんはプロジェクト当初からたまちゃんの描くイラストに注目していました。
橋本さん:「1枚1枚仕上がる度に『できたできた』と言って・・・。能面の写真みたいな資料を見せてそれを描いてくれたのがこれで、それを生かしてデザインした柄がこれになる」

松村 記者:「作品を見るとにこっと笑顔になる?」
橋本さん:「たまらないんですよその笑顔が。きゅんとやられちゃうんですよ」