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コンピューターゲームを用いた競技「eスポーツ」

最近では石川県内でも筋力や心身の活力が低下する虚弱を意味する「フレイル」の予防に、eスポーツを取り入れる動きが出てきています。

こうした中、かほく市の石川県立看護大学では、eスポーツが高齢者の認知機能の維持・向上へどのように影響するのか地域住民の協力を得ながら調査を始めました。

県立看護大学の学生:「できました!上手ですよ」


MRO 松村 玲郎 記者:「こちらeスポーツ体験会の会場です。中に入ってみますと、たくさんの住民の方がいますね。こうした地域の方々の協力のもと、調査が行われているということです」


学生に教えてもらいながら高齢者たちが楽しんでいるのは、手先を使うパズルゲーム「ぷよぷよeスポーツ」


県立看護大学では、eスポーツの体験が認知機能へどのような効果をもたらすのか検証する研究を8月からスタートさせました。

この調査に卒業研究として取り組むのは地域看護学や成人看護学を学ぶ4年生、計9人です。


調査では8月7日に認知機能などの最初の測定として、かほく市内の65歳から90代の住民、約30人から記憶に関する聞き取りを実施し、合わせて唾液などから検体を採取しました。


今後、週に1回のペースで計4回、eスポーツを体験してもらった後、9月15日に再び同じ測定を行い認知機能について変化があるかを検証します。


参加した住民(74歳)は:「認知機能について今まで測ってもらったことがないから、こういう機会があると病院行かなくても測ってもらえて・笑。学生が一生懸命やっているから役に立てば嬉しい」

かほく市では今年度から、閉じこもりや認知症の予防につながればと、高齢者にeスポーツに親しんでもらう体験会を開催しています。


かほく市長寿介護課 七野 奈美喜 担当課長:「閉じこもることでフレイル(虚弱)が進んでしまうので、家から出るきっかけという形でフレイル予防も兼ねている」

市では認知機能への効果を検証できないかと、包括的連携協定を結ぶ県立看護大学に調査を依頼し、卒業研究が始まりました。


取材を進めると、研究を通して若い世代と地域の高齢者がふれあう姿が見られました。

学生:「どんな影響があるかというのをまた見させて頂きます」
地域の高齢者:「ほれはあれか?ゲームか?」
学生:「そうですね、ゲームをしてどんな影響があるかなっていうのを・・・」

かほく市長寿介護課 七野 奈美喜 担当課長:「高齢者の表情が学生と私たちとでは全然違っていてとても喜んでいるので、ますますいいきっかけになったかなと思っている」

参加した住民(82歳)は:「親切に教えてもらって、あぁこんなのならできると思ってやっていた」
松村記者:「またやってみたいと思う?」
住民:「そうですね、ぼけっとしているより頭の体操に・・・」

県立看護大学4年生 石原 亜美さん:「分かりやすく教えるというのがすごく難しかった。保健師を志望しているので地域の方々と交流しながら指導を行ったりという場面もあるので、何かこの交流が自分の将来の仕事に役に立つのではないかと思っている」


一回目のeスポーツ体験のあと行われたゼミの報告会。


県立看護大学4年生 宮下 春菜さん:「説明があまり聞こえていないという人も何人かいたので、声は結構張った方がいいかも・・・」

調査に参加した学生が記録した動画をチェックしながら、次の当番学生に引継ぎ事項を伝えていました。

県立看護大学 地域看護学講座 米澤 洋美 教授:「(eスポーツの効果について)明らかになっているところはまだまだこれからという分野なので、記憶であったりストレス的なところの意識であったりを、数値を用いて測りながら前後を比較したいと思っている。機会を提供してもらえるかほく市にも感謝を申し上げたいと思っている」


県立看護大学4年生 高松 楓佳さん:「やっと今、調査が始まったという感じなので、高齢者の方とたくさん関りながら研究を進めていきたいとな思う」

調査の結果は学生らによってまとめられ、12月に学内で卒業論文として発表される予定です。


依頼したかほく市も、これをきっかけにフレイル予防の意味も含めて今後もeスポーツ体験会などを続けていければとしています。