20年ほど前に病院などの医療関係の世界で登場した「患者様」という言い方。例えば「患者様の立場に立った医療」とか「患者様の安全を守るために」といった使い方のことですが、この「患者様」について、私たち日本語研究者をはじめとする世間の批判を受けて随分減ってきたように思います・それでもまだ時々目にしたり、耳にしたりします。

金沢大学名誉教授で言語学者の加藤和夫さんが「患者様」を深掘りします。

日本語研究者に限らず、「患者様」という言い方に違和感を持つという人は少なくなく、当の医療関係者からも批判の声が聞かれました。例えば、著名な日本語学者、故・金田一春彦さんも著書の中で「患者様」という言葉の問題点を指摘していて、多くの日本語研究者の批判の根拠もほぼ同じです。