ベトナムでの捕虜生活を経て、ようやく羽咋のふるさとに帰ってきたのは、終戦の翌年の春。3年ぶりに息子と対面した家族の反応は、意外なものでした。
村本義雄さん(100)
「帰ってきたら親もビックリしてね。幽霊が出てきたんじゃないかって」

自宅の仏壇に飾られていたのは、自分の写真でした。
村本義雄さん(100)
「戦死した知らせがもう既に入っていて。『ああ、ワシは死んだことになっとるな』と。私は生き返ったことになるんだよ。死んだ者が生きてるんですから。」
あれから80年。村本さんにはどうしても捨てられないものがあります。幾多の戦場をともに駆け抜けた軍靴です。

村本義雄さん(100)
「ずっと私の命を守ってくれた靴だと思っています。私の魂がここに入っているんですからね。ゴミに捨てることなんてできません。」