北海道から九州まで広く生息する標準和名でいうところのメバル。この海の幸は地域によって実に多彩な呼び名を持っている。漢字で「目張」「眼張」と書くように、その名は特徴的な大きな目に由来すると考えられる。全国各地に分布するメバルの方言名からは、日本の豊かな言語文化が垣間見える。   

メバルは北海道南部から九州に至る広範囲に分布する魚だ。海岸近くの藻が多い岩場に群れをなして生息し、その仲間は日本近海に30種類ほどが確認されている。脂肪の少ない淡泊な白身魚であり、煮付けを筆頭に塩焼き、唐揚げ、刺身など様々な調理法で楽しまれる美味な魚である。

春から初夏にかけてが旬の魚ということから、かつては3~5月に産卵のために北海道西岸に近づくニシンを指していた「春告魚(はるつげうお)」という名称が、ニシンの漁獲量減少に伴い、近年はメバルの呼び名として使われることも増えているという。