石川県白山市の北陸自動車道で2019年、バイクに乗っていた男性を死亡させたとして、危険運転致死の罪に問われた被告の裁判員裁判で、金沢地裁は7日、あおり運転があったと認定し、懲役6年の実刑判決を言い渡しました。一度は過失と判断され、検察が事実上の再捜査を行うなど、異例の経過をたどった事件は、今後のあおり運転事件に大きな影響を与えそうです。

検察が異例の“再捜査” ドライブレコーダー映像が決め手に

この事件は2019年5月、石川県白山市徳光町の北陸自動車道で、大阪府高槻市の当時76歳だった男性が運転する大型バイクに乗用車で危険な幅寄せなどのあおり運転をして、男性を転倒・死亡させたとして、金沢市に住むJR西日本の社員の44歳の男が危険運転致死の罪に問われたものです。

事故直後の北陸自動車道 死亡した男性の大型バイクは中央の白い「トライク」と呼ばれる3輪タイプ=石川県白山市、2019年5月

当初、警察は被告を過失運転致死の疑いで書類送検していましたが、死亡した男性と共にツーリングをしていた女性のドライブレコーダー映像をもとに事実上の再捜査が行われました。

法廷で再生された映像には、走行車線を走る被告の車が、追い越し車線を走る男性のバイクに抜かされまいとスピードを上げ、追い越し車線の後ろを走っていた女性のバイクとの間に無理やり車線変更して割り込む様子が映っていました。

被告の車はその後、急激に減速し、映像には2度、ブレーキランプが点灯する様子が捉えられていました。このときの様子について、女性は「(被告が)急に減速してきたので、急ブレーキをかけた。時速100キロから60キロまで減速して、転倒するかと思った」と証言しました。

男性のバイクが走行車線に進路変更をすると、被告の車は急加速してバイクに追いつき、突如左車線に進入。男性が慌ててバイクのハンドルを切りましたが、バランスを崩して中央分離帯に衝突し、投げ出された男性は死亡しました。

事故の再現CG 被告の車が走行車線に進入し大型バイクに接近した