“得意なこと”で取り戻した自己肯定感
他人より出来ないことが多く自己肯定感が下がった奏さんの心を救ったのは、ミシンでの作品制作です。会場には、これまで手掛けた帽子や鞄のほかゲームキャラクターの衣装や、学校の制服も並びます。

その実力はミシンの全国コンテストで優秀賞をとりながら、さらに「ぬいぬい屋SOU」というブランドを自ら立ち上げイベント会場でポーチやカバンなどの雑貨を販売しているほどです。

奏さん「(作品を作ると)誰かが喜んでくれるというのがすごく嬉しいので、それを見ているだけでもやりがいみたいな感じ」
きっかけは、小学校に入学前。雑巾縫いに追われる母親のお手伝いでミシンを使って以来、ミシンでの作品作りに没頭します。奏さんの母親は以前の取材で当時の様子を私たちに話してくれました。
母親「字を書くことがうまくできなかったり、字を書くことに凄くエネルギーを使って、ストレスをものすごく感じてしまうという特性がありますね。学校に行ってたときに…『私は何もできないポンコツだ』と言ったことがあったんですよ。でも、そのときはミシンができていたので『いや、ミシンできてるじゃん』と思って」

一方、自分が手がけた作品で誰かに喜んでもらいたいという思いは、技術の向上となり、自己肯定感の回復にも繋がります。