標高7000m、ヒマラヤ・アンナプルナ山群にある巨大な大地の裂け目“セティ・ゴルジュ”「悪魔の谷」と呼ばれているその場所を、直径わずか8ミリのロープで完全踏破したのが、高知の渓谷探検家だ。彼が命がけで追い求める「誰も見たことがない絶景」の価値とは。
高知県大豊町に住む渓谷探検家、田中彰さん(52)。アジアでただ1人の「国際キャニオニング協会」認定インストラクターで、これまで数えきれないほどの海外の険しい渓谷を踏破してきた。
誰も足を踏み入れたことのないヒマラヤの大渓谷にも挑み、2023年には「植村直己冒険賞」を受賞。世界トップクラスの探検家として知られている。
桁違いのスケール ヒマラヤ「悪魔の谷」に挑む

標高7000m、ネパールにそびえ立つ、ヒマラヤ・アンナプルナ山群。そのアンナプルナ山群にある巨大な大地の裂け目「セティ・ゴルジュ」は、「悪魔の谷」と呼ばれ、谷幅が狭く、桁違いのスケールの大渓谷だ。

準備期間に4年もの歳月を費やし、2022年の一次遠征で一部踏破、2023年の二次遠征で「悪魔の谷」を完全踏破した。
狭い場所では幅が数m、高さは400m以上もある深い谷。頻繁に起こる落石や、激流、巨大な滝をくぐり抜け、“人跡未踏の地”を進む。
しかし、その道は、戻ることのできない一本道だ。