12月の搬送困難は2021年の年間件数に匹敵…「全てが異常事態」

高知市の東消防署です。17日も、朝から新型コロナ陽性者のもとに救急車が出動しました。搬送先がなかなか決まらず、署に戻ってきたのは、出動からおよそ2時間半が経過してからのことでした。

▼高知市東消防署 救急救命士 竹内政博さん
「救急隊が病院に収容交渉をするが、病院が受け入れてくれない状況で最終的に保健所に頼んで病院調整してもらったという事例。いわゆる搬送困難。」


医療機関に4回以上患者の受け入れを断られ、現場で30分以上待機する「搬送困難」の件数は、12月だけで184件に上ります。これは2021年の、1年間での件数(188件)に匹敵する数字です。


高知市消防局によりますと、2023年に入り、1日当たりの出動件数が2022年の平均を40件以上上回る、99件にのぼる日もあり、本来は使用しない予備の救急車で出動したり、応急処置だけでも施そうと救急隊ではなく消防隊が出動したりする事態も起きているといいます。この他、署をまたいで人員を補い合うなど、本来のルールをこえた対応がさまざまな場面で必要とされていて、すべてが『異常事態』だということです。


▼高知市東消防署 救急救命士 竹内政博さん
「夏の頃より全然(状況は)悪いです。コロナ以外の傷病についても、見られる病院がないというのは夏の頃はなかったので、すごく悪い状態です。非常に医療は危機的な状況だと思います。職員がコロナになって人手が足りなくなったことがある。署で補える場合は補って、ほかの出張所とか管理職の署長とかが泊まったりして対応してます。」


このような状況で改めて求められるのは、「救急車の適正利用」ですが、患者自身での対応にも限界を感じているといいます。

▼高知市東消防署 救急救命士 竹内政博さん
「できたら家族とかに病院に連れて行ってもらいたいが、病院を探しても見つからないという状況があるので難しい。」