新型コロナ第8波収束の兆しが見えない中、医療や救急の現場も「綱渡り状態」が続いていて、日常診療や救急対応医療の制限がさらに拡大することが懸念されています。医療、救急、それぞれの現場を取材しました。

続く受け入れ制限…医療ひっ迫に「好転するという先が見えにくい」

救急患者を受け入れる高知市の近森病院です。2022年12月の救急搬入の要請は931件とコロナ禍で最も多く、このうち受け入れできたのは647件。第8波で医療がひっ迫していて、救急外来の受け入れを制限せざるを得ない状況が続いています。

2022年12月の受け入れ要請は931件、実際の受け入れは647件


▼近森病院 感染症内科 石田正之医師
「夏の第7波、今回の8波で、明らかに救急のひっ迫度は増している。救急とか入院とか治療が必要という外側からのニーズが増えている。一方で職員はコロナにかかるなどして欠勤者が出てきて、残った人で勤務を回す。かなり綱渡り状態。とにかく混沌としている。立ち止まることなく常に動きながら行動している状況。それでも完全に求められている数をさばき切れていない。」


石田医師は2022年9月に患者数の把握が簡略化されたことで、感染確認数にカウントされていない患者も多くいるのではないかと見ています。

▼近森病院 感染症内科 石田正之医師
「今までずっとやってきているので、これくらい陽性者数が出るということは、肌感覚がある。どうしても正確な数は測れない。今回は乖離があると思う。年明けてすぐは肌感覚としては2倍か3倍くらい陽性者がいるんじゃないか。」

次から次へと患者が搬送される一方、救急外来の制限や病床を効率よく活用することで、以前より多くの患者を診られるようになっているといいます。

▼近森病院 感染症内科 石田正之医師
「退院のタイミング、転院のタイミングを早い段階で判断していくというところ。われわれの負担にはなるが、ただ外からのニーズがある以上、できる限り回していく。短期的にみるとそうやっていくしかない。」


1月に入って患者数の大きな増加は見られないものの、今度はインフルエンザが流行期に入り、医療体制に余裕は生まれていません。

▼近森病院 感染症内科 石田正之医師
「インフルエンザの場合、コロナほどの感染力はないと思うが、インフルエンザをきっかけに持病が悪くなったり、肺炎を起こしたり、救急の件数が増える、入院が増えてベッドが埋まりやすくなるということがコロナ前もあった。医療の状況は大きく変わらず、好転するという先が見えにくい。」


一方、患者を搬送する救急隊も、厳しい状況に置かれています。『夏より状況は全然悪い…』消防署の救急救命士が語りました。