高知への移住  デカピンクは弁当店のオーナーに

京都で新婚生活を送っていたデカレンジャー夫婦。ところが沖縄の離島での研修経験もあり、友一さんは次第に地域医療に心が傾くようになっていた。

大学院時代の恩師が高知市のクリニックの院長だったことが縁で、今度は高知市に移り住むことを決めた。

美香さんの母方の実家は土佐市で、「住むなら緑豊かなところに」という思いもあり、高知への移住にはそれほど抵抗はなかったものの、移住も美香さんにとっては想定外のこと。

移住後、友一さんは、高知市地域活性推進課に地域おこし協力隊として勤務しながら、それ以外の時間は鍼灸院を営むという「二足の草鞋」生活をスタートさせた。

友一さんの鍼灸院は、市内に借りたビルの2階で開院、1階は空きスペースとなっていた。美香さんも「私も何か始めなければ」と悩んだ末、たどりついたのが「お弁当屋さん」だった。

高知市内で弁当店をオープン 毎日朝5時から仕込みを

美香さんが俳優としてこれまで最も大切にしてきたのが、「体に優しい食生活」。それを地域の人に提供する弁当店なら、夫の鍼灸院と「医食同源」でつながるビジネスになると考えたからだった。

早速、ビル1階の空きスペースで開店準備を進め、2023年1月に弁当店をオープン。地元産の食材にこだわり「無添加」「グルテンフリー」を売りに、価格設定も、他店との差別化を図り、主力の弁当を「1000円」で販売する戦略を立てた。

特にメインの弁当は、彩り豊かで「映える」とSNSや口コミで広がり、早いときには予約も含め、120個がわずか5分で完売する日もあったという。オーナーが「デカピンク」と知って買いに来る県外からのファンもいたそうだ。

メインの「京都はな弁」(手前)は1000円(税込) 

▼菊地美香さん
「自分が『まさか』お弁当屋さんをするなんて思ってもいなかったです。朝4時起きで、5時から仕込みとハードな日々ですが、高知は食材にパワーがある。それを大勢の人に食べてもらえるのは幸せです。私もどちらかといえば、「二足の草鞋」タイプ、俳優業プラス、何かやっていないと落ち着かない性格なんですよね」

想定外だらけの第二の人生だが、「まさかの出来事」をすべてプラスに変えてきた
美香さん、原点だったデカレンジャー放送から20年経ったいま、高知で輝きを増している。

経営する高知市内の弁当店で

実は友一さんにも人生を左右する「想定外」があった。それを食い止めたのが美香さんで、もし友一さんがそのまま決行していたら、今回の20周年記念映画は違った形になっていたかもしれない。その「想定外」とは。