改正された刑法 契機には相次いだ無罪判決
これまでの「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」が統合され「不同意性交等罪」が新設された改正では、性的な行為を判断できるとみなす「性交同意年齢」が、13歳から16歳まで引き上げられた。
そして、処罰の範囲が広がった。
法改正の大きな契機となったのは、2019年に相次いだ4件の無罪判決だ。
このうち名古屋地裁支部で行われたのは、未成年の娘に対して性的被害を与え続けていた父親に対する裁判だった。14歳の頃から長年にわたり繰り返された性行為について裁判所は「抵抗不能だったとはいえない」と判断、無罪判決を言い渡した。
強制性交罪の処罰要件によれば「全力で抵抗し拒否」をしていなければ、性行為には「同意があった」とされてしまう。
全国の性被害者から上がった、法の限界を指摘する声を一定程度反映する形で、不同意性交罪は成立した。